出版社内容情報
グリーン調達に呼応して、環境に配慮したエコ電線・エコケーブルの普及が図られるようになり5年が経過した。しかし、電線分野でのエコ材料は歴史が浅いこともあり、技術的な進歩改良の余地がまだ多く残されている。
本書では環境にやさしい電線被覆材料であるノンハロゲン難燃材料の材料物性・押出成形加工性・信頼性向上などを目指し、その開発状況・課題について解説する。さらにメーカーおよびユーザーへのアンケート調査をもとにした実態調査結果も収録している。
(社)電線総合技術センター主催「エコ電線の最先端」セミナー(2004年6月)を編集。
序文:会田二三夫 (社)電線総合技術センター
第1講 電子機器用バイオプラスチックの最新動向:位地 正年 日本電気(株)
第2講 電線被覆用ノリル樹脂:糸井 秀行 General Electric International, Inc
第3講 エコ材料へ対応する高分子添加剤:宮地 保好 味の素ファインテクノ(株)
第4講 ノンハロゲン電線材料の開発動向:八木 敬祐 アプコ(株)
第5講 電線用オレフィン系材料の最新技術:江島 靖和 昭和化成工業(株)
第6講 ポリエチレン系エコ材料:立川 毅 日本ユニカー(株)
第7講 耐酸性トリニティFR:瀬田 寧 リケンテクノス(株)
第8講 ノンハロゲン難燃材料“ライデックス”の開発:新美 佳治 プラス・テク(株)
第9講 ノンハロゲン難燃ポリエチレンの各種評価法:川端 秀雄 日本ポリエチレン(株)
エコ電線についての電線メーカーおよび電線ユーザーへのアンケート調査結果:清水 修 (社)電線総合技術センター
序文
第1講 電子機器用バイオプラスチックの最新動向
1.はじめに
2.最近の環境動向
2.1 環境にかかわる最近の傾向
2.2 グリーン調達、グリーン購入
2.3 グローバル化するグリーン調達
3.NECにおけるグリーン調達
3.1 環境配慮型製品のコンセプト
3.2 NECの環境対応目標
3.3 NECのグリーン調達
3.4 エコマテリアルへの挑戦
4.バイオプラスチックの最新動向
4.1 ポリ乳酸への期待
4.2 NECのバイオプラスチックへの取り組み
4.3 ケナフ添加ポリ乳酸の開発
4.4 難燃性ポリ乳酸の開発
4.5 自己修復性バイオプラスチックの開発
5.まとめ
第2講 電線被覆用ノリル樹脂
1.ノリル樹脂について
2.開発コンセプト
2.1 市場の要求
2.2 電線被覆材用途に対するノリル樹脂の位置付け
3.ノリル電線グレードの位置付け
4.電線用ノリル樹脂の基本特性
5.成形加工性
6.まとめ
第3講 エコ材料へ対応する高分子添加剤
1.はじめに
2.天然水酸化マグネシウム系難燃剤
2.1 難燃剤の国内市場動向
2.2 日本におけるエコケーブル市場
2.3 合成水酸化マグネシウムと天然水酸化マグネシウムの特徴
2.4 天然水酸化マグネシウムの課題
2.5 天然水酸化マグネシウムの改善
高純度化
着色性の改善
微量不純物による樹脂特性劣化の改善
難燃性の改善
2.6 天然水酸化マグネシウム系難燃剤ポリセーフMG
3.無機系酸吸着安定助剤
4.おわりに
第4講 ノンハロゲン電線材料の開発動向
1.はじめに
2.アプコ(株)について
3.ノンハロゲン電線材料の開発背景の変遷
4.ノンハロゲン電線材料の配合
4.1 PVC電線材料との配合の違い
4.2 金属水和物の難燃機構
5.アプコ(株)のノンハロゲン電線材料
5.1 柔軟性、耐傷付き性の向上
5.2 シラン系助剤
5.3 難燃剤
5.4 混練技術
5.5 ニューエコ電線材料
6.シラン架橋ノンハロゲン電線材料
7.ノンハロゲン電線材料の特性
7.1 押出加工性
7.2 吸湿性
7.3 耐熱寿命、耐候性、低温柔軟性
7.4 ノンハロゲン電線材料の課題点
8.PVC代替検討時の注意事項
9.おわりに
第5講 電線用オレフィン系材料の最新技術
1.はじめに
2.非塩ビ化の市場要求
3.塩化ビニル系およびオレフィン系コンパウンドの配合
4.オレフィン系コンパウンドの物性の改良
4.1 機械的物性
モルフォロジーから見たゴムブレンド効果
S-Sカーブから見たゴムブレンド効果
4.2 耐熱性
4.3 耐酸性
4.4 難燃性評価
5.成形加工と装置
6.オレフィン系コンパウンドの課題とアピールポイント
7.昭和化成工業(株)のオレフィン系コンパウンド
第6講 ポリエチレン系エコ材料
1.はじめに
2.樹脂設計のコンセプト
3.日本ユニカー(株)のノンハロゲン難燃性ポリエチレン
3.1 ナックセーフTM
3.2 ナックセーフエコTM
3.3 加工性の改善
4.加工トラブルとその対策
4.1 吐出量の改善
4.2 表面荒れ対策
4.3 目脂対策
5.まとめ
第7講 耐酸性トリニティFR
1.はじめに
2.トリニティFR
2.1 トリニティFRの構造
2.2 ノンハロゲン電線被覆材の課題
2.3 トリニティFRの耐酸性
水酸化マグネシウムの問題点
ノンハロゲン電線の“汗”
3.耐酸性トリニティFR
3.1 開発コンセプト
3.2 試作二芯平行コード
3.3 成形加工条件の設定
混練状態
水酸化アルミニウムの発泡
ポリプロピレン
温度設定
スクリューパターン
3.4 長期性
3.5 まとめ
4.トリニティFR新規主要グレード
第8講 ノンハロゲン難燃材料“ライデックス”の開発
1.ライデックスについて
1.1 ライデックスREMシリーズ
1.2 ライデックスKEMシリーズ
2.耐傷性材料
2.1 耐傷性の向上について
2.2 耐傷性改善新規材料ライデックスKEM4000シリーズ
KEM4000シリーズの物性
KEM4000シリーズの加工条件例
3.新規材料の開発
3.1 耐油性新材料
3.2 射出成形用グレード
4.まとめ
第9講 ノンハロゲン難燃ポリエチレンの各種評価法
1.はじめに
2.ノンハロゲン難燃化への経緯
3.難燃化の方法
3.1 難燃剤の選定
3.2 ベース樹脂の選定
4.難燃性の評価法と問題点
4.1 酸素指数法
4.2 UL燃焼性試験
4.3 コーンカロリーメータ
4.4 ケーブルの難燃性試験
5.発煙性の評価
5.1 発煙量
5.2 煙の安全性
5.3 発生ガスの腐食性
6.長期信頼性
6.1 耐熱老化特性、耐薬品性
6.2 二酸化炭素による白化
7.日本ポリエチレン(株)のノンハロゲン難燃ポリエチレン
エコ電線についての電線メーカーおよび電線ユーザーへのアンケート調査結果
1.はじめに
2.電線メーカーへのアンケート調査結果
2.1 エコ電線に対する取り組みの状況
2.2 現在のエコ電線販売先と採算性
2.3 エコ電線の材料・製造(技術)について
2.4 エコ電線のビジネス、市場性について
3.電線ユーザーへのアンケート調査結果
3.1 現状のエコ電線に対する認識
3.2 PVC電線の調達方針
資料1 電線メーカーへのアンケート調査の設問と集計結果
資料2 電線ユーザーへのアンケート調査の設問と集計結果
資料3 「エコ電線の実態と動向調査研究会」委員