内容説明
昭和を代表するマルチ・タレント徳川夢声が活動弁士時代を綴った幻の傑作メモワール!もはや古書店でも入手困難な元本に新たに未収録だった連載初出時の原稿を追加した完全復刻版。
目次
くらがり二十年(あゝら不思議;グルグル廻りの「襷」;初期の戦争映画;非映画ファン;自分の名前に呆れる ほか)
続くらがり二十年(山田耕筰氏に毛があった事;映画物語の始まりの事;渋谷キネマ昼夜一回興行の事;大井閑居;華の新宿十年前 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Wagatsuma
10
映画が活動写真と呼ばれた時代、弁士の目から見た無声映画の栄枯盛衰を具体的に読める貴重な一冊だと思う。というか、唯一無二と云っても良いのではないか。まるで落語のような語り口の文章は面白可笑しく、中身も濃くて読了には思った以上に時間がかかった。無声映画はスクリーンに映し出された映像に弁士が声を充てているだけ、と思っていたら違うのね。当時の時代背景と併せて、とても面白く読めた。世の中の進歩に伴って、自分の能力が必要とされなくなる。これは今の世の中でも普通にあることだ。その事実にどう処すか、心意気を見習いたい。2015/06/26
がんぞ
3
活動写真は、発明の1894年の翌年にはもう日本に入ってきた/エンドレスで1分間ほどの寸劇や海外風景や自然現象を映写して楽隊が音楽を生演奏(蓄音機はあったがスピーカーはない)、初期には映写技師が弁士を兼ねていた/やがて長尺物が作られ、全10巻の大長編も…/大劇場の数百人に聞かせる声量と話術/弁士は日本独自/AmazonPrimeで無声『ベン・ハー』を見たが、社運が傾くほど予算を掛けただけあって、スペクタクル巨編とは別の面白さがあった/日本のアニメ映画に声と音楽、さらに色彩が無ければ魅力はどのくらい残るだろう2021/07/07
kokada_jnet
1
武蔵野館の弁士を首になる直前の、1933年(昭和8年)から『新青年』に連載された、弁士時代の回顧録。従来、単行本未収録のままだった、雑誌連載時の内容をフル収録と、充実の再刊。内容は貴重なのだろうが。大辻司郎風の「・・・デス」が多様されていて、どうも、夢声の文章がまだ練れていない。2013/11/10
味噌漬の味
1
無声映画に興味のある人は必読!!当時の映画をとりまく環境を知ることができます。語り口も軽妙洒脱で読みやすいこと・面白いことこの上なし!