内容説明
カンボジア、広島、コソボ、アフガニスタン…。戦争や内乱など社会情勢の厳しい地にも、涙をこらえた笑み、はにかみの微笑み、はじける笑顔がある。40年にわたり撮り続けた世界35か所での「笑み」。
目次
1 (ポーランド―哀愁の瞳;アフガニスタン―噴き出した笑顔 ほか)
2 (インド―奥深い思い;ビルマ(ミャンマー)―祈り ほか)
3 (旧ソ連―帰還兵の心の闇;ヒロシマ―残されたものの記憶 ほか)
4 (ガーナ―憂愁の歴史のなかで;フィリピン―拾いものは ほか)
著者等紹介
大石芳野[オオイシヨシノ]
写真家。日本大学芸術学部写真学科卒業。人間の生をテーマに人々の姿を追う。その中で戦争や内乱などによって傷つけられながらも逞しく生きる人々を、カメラとペンによって記録し続けている。芸術選奨、土門拳賞、日本放送協会放送文化賞、エイボン女性大賞などを受賞、紫綬褒章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
PEN-F
35
紛争の絶えない国、貧困に喘ぐ国、そこで目にする笑みは悲しみをこらえて見せる表情。お愛想でも何かの打算でもなく、単に相手を自分の内なる闇に引きずり込んではいけないといった配慮のようなものがそうした表情をつくるのかもしれない。もしも誰もいなかったら大声で泣いているのでは…。笑顔の裏には幾多の零れ落ちた涙と苦痛があるのだろう。それでも笑みをたたえようとする健気さが彼らの強さを物語っている。2021/12/26
ちえ
30
NHK日曜美術館で作者を知り、図書館の閉架から出してもらった。戦争や内乱で傷つきながらも逞しくいきる人々の写真を撮り続けている作者。題名通り笑顔の写真が印象的。写真と共に文章も響く〈色々な笑顔に遭遇しながらも、とりわけ心を打たれるのは悲しみをこらえて見せる表情だ…それでも笑みをたたえようとする健気さに、私はこれまでどれほど勇気づけられ教えられてきたことか(あとがき)〉〈…「人間は皆同じというわけにはいかないからね」違うからといって敵愾心を燃やしたり疎外したりしていては、↓2019/04/27
たまきら
14
親が政治記者で、自衛隊や軍事に精通していたせいもあり家に沢山の戦場写真集がある家でした。弱い存在であること、守ってもらわないといけないことが怖かった。そして、その後女性に対する究極の暴力を知りただ憎んだものです。憎しみと暴力の嵐が過ぎ去った後、生きていかないといけない人たち。その日常をかいま見せてもらうのはなんと学び多きことか。娘に、そして教え子たちに、こういう涙を流させたくないな、と思いつつ。そして今年も東京大空襲の体験者の皆さんと向かい合っています。2016/01/25
けんとまん1007
5
人の表情、タイトルは笑み、表紙は涙。その表情の中にあるものを、どれだけ感じることができるのか、そこが大切なところ。やはり、眼、瞳の奥にあるものだろうか。それと、そこに至るところで、歴史・文化・伝統・今の情勢などにアンテナを張ることかもしれない。しかし、本当に、笑みがやってくるのはいつだろうか。と思いながらも、希望の光も、それ以上にある。2013/08/18
おちおち
0
わたしたちは、やはり、 平和ボケしている。 なんだか情けなくなりました。 この本が出版されて間もなく、 東日本大震災が起きた。2015/01/28
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- 和書
- こんにちは、私。