出版社内容情報
七十余年、土と炎の力を信じて、独自の作陶に生きた辻清明。日々愛でた嵬集品を含む、彼の創造の「宇宙」がここにある。
辻清明の"美の本質"に藤森武の"眼"が迫る。
大型カメラ・アナログ撮影によって撮り下ろした作品群が新たな感動を呼び起こす。
内容:
壺中日月 ― 作品(陶器・ガラス器・書)
信楽"明る寂び"には、武骨だが明るく、率直で滋味あふれる、一本筋の通った世界がある。
辻清明の仕事は、用と美という二元論を乗り越えた原始や古代のやきものに通じるおおらかな性格をそなえている。 乾 由明(本文より)
独歩〔茶室と庭〕
自作の茶室で茶をたて"茶碗"と"対話"する。使うことによって新たな命が生れる。
座辺師友〔嵬集古美術品〕
精神の師として、古今東西の作品を常に身近に置き、世界を拓いた多くの嵬集品のなかから、強く心ひかれていた作品を収録した。
辻清明年譜/掲載作品・嵬集品リストなど収録
執筆者
林屋清三(菊池寛実美術館館長)
谷川俊太郎(詩人)
乾由明(京都大学名誉教授、兵庫陶芸美術館館長)
安部工房(作家)
ドナルド・キーン(コロンビア大学名誉教授)
藤森武(写真家・日本写真家協会会員、土門拳記念館理事・学芸員)
森孝一(社団法人・日本陶磁器協会)
撮影作品所蔵館
東京国立近代美術館
愛知県陶磁資料館
茨城県陶芸美術館
岐阜県現代陶芸美術館
山口県萩美術館・浦上記念館
辻清明プロフィール
陶芸家・辻清明は、幼時にして骨董の美に目覚め、九歳の誕生祝いに、野々村仁清の「色絵雄鳥香炉」を求めるほどであった。十歳になると、手回し轆轤を買ってもらい、一四歳のときに、「辻陶芸研究所」の看板を掲げ、陶芸家への道を歩みはじめた。古信楽に日本人の魂の原典を感得、その美を「明る寂び」と表現した。
「明る寂びには、宿命を素直に受け入れ、自然と合致する静寂な世界というだけではなく、優美でのびやかで、夜明けの空に似た明るく澄んだ気配がある。
目次
独歩の人 辻清明(林屋晴三)
てのひらとゆびの―辻清明の器に寄せて(谷川俊太郎)
辻清明の陶業について(乾由明)
壺中日月―作品
坐辺師友―蒐集品
独歩―創造の庭
陶器に関するエッセイ(安部公房)
辻さんの作品(ドナルド・キーン)
著者等紹介
藤森武[フジモリタケシ]
写真家。1942年、東京都生まれ。写真家・土門拳に師事。仏像や寺院を対象にした写真集を多数刊行。ほかに、日本の伝統文化をテーマに意欲的な撮影をおこなっている。日本写真家協会会員、土門拳記念館理事・学芸員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。