内容説明
シュルレアリスム研究の第一人者が書くとびきり優雅で豪奢な映画エッセイ集!『映画の一季節』に、新たにカルト・ムーヴィー『狩人の夜』へのオマージュ、フェリーニ、ゴダール、タルコフスキー、アンゲロプロスの名作、ラオール・ウォルシュ、ブニュエル、オーソン・ウェルズ追悼などを大幅加筆!増補決定版。
目次
序にかえて―映画と「幻想」(インタヴュー)
1 映画 幻想の季節―一九七九‐二〇〇九年(映画狂のメルヘンチャールズ・ロートンの『狩人の夜』;ジョルジュ・フランジュの詩と幻想 ほか)
2 映画の一季節―時評一九七八年(映画・SF・幻想;映画批評のおもしろさ ほか)
3 映画の妖精時代―一九七七‐~一九七九年(映画の妖精時代ジョルジュ・メリエス;キングコング神話 ほか)
4 映画館幻想―一九七二‐二〇〇〇年(古きよき映画館の記憶;私のえらぶ映画館(アンケート回答) ほか)
著者等紹介
巖谷國士[イワヤクニオ]
1943年東京生まれ。東京大学文学部卒・同大学院修了。仏文学者・評論家・紀行作家・明治学院大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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garth
5
「映画館というものはやはりある程度まで、魔術的な場所、マジック・パレスでなければならない。だいたいあのように暗く、かならずみんな前方を向いてすわり、横型長方形の幻に見入るという異様このうえない状況自体が、それにふさわしい空間を要求している」このところ魔術としての映画、ということばかり考えているので大いに示唆に富む一冊。SF映画の幼稚さについての指摘も。2010/07/21
ネムル
1
魔術としての映画、そして体験。よくよく考えたら映画とシュルレアリスムハ切っても切り離せない関係だったか。『幻想文学』誌の幻想映画特集にも寄稿があったし。 2011/02/25
Nadja
0
館内へ入るドアにはすり切れたビロードのカーテン。駆け込んできた人たちが座る度に座席が軋む音。映写機の光源にもくもくと煙る紫煙(昔は場内喫煙可)。生地が傷んだ座椅子。一本目の映画が終わると場内にはアイスクリーム売り。画質も音質も今とは比べものにならないくらい劣悪だったけれど、幻想にはふさわしい場所だった。現代は映像作品が過剰なまでにあふれ過ぎて、想像や幻想をかき立てる作品と出逢う機会も失われつつあるように思う。
trois
0
私の映画の記憶は、この本にすべてつまっている! 素晴らしい映画評ばかりで、読みながらふたたび映画を見ている気分になります。2011/05/21
concetto
0
この本にでてくる映画ばかりをみていたい。 「狩人の夜」とか「去年マリエンバードで」とかが印象に残る。2025/08/20