内容説明
文学、映画、演劇、音楽、恋愛…幅広いテーマから、女性の愛と生き方、精神の深淵を見事に浮かび上がらせた名エッセイ集。…リタ・ヘイワース、マリー・ラフォレ、ドミニク・サンダ、シャーロット・ランプリング、及川道子…、伝説の女優たちへの美しいオマージュ。
目次
第1章 回想の女優たち(スポーツを越える美学を―市川崑『東京オリンピック』;誘惑への回帰―『太平洋ひとりぼっち』と『江分利満氏の優雅な生活』の場合 ほか)
第2章 女のエロチシズム(都はるみはピアフである;宝塚歌劇は野球である ほか)
第3章 女性の幻想(女の足指と電話機―ひとり会『ストリッパー物語・惜別編』を見て;唐十郎作・演出の『蛇姫様・吾が心の奈蛇』 ほか)
第4章 私も愛して(ベルが鳴ったら―寺山修司考;ハンマーは豆腐をくずせるか ほか)
著者等紹介
虫明亜呂無[ムシアケアロム]
1926年東京生まれ。46年、早稲田大学仏文科を卒業後、同大助手を経て、文筆家に。文芸批評、翻訳、映画、音楽、演劇、旅、食べ物など幅広い分野にわたって名筆を振るった。とくに野球、競馬を始めスポーツに関心が深く、独特のロマンティシズムの芳香に満ちた美しい文体は未だに熱狂的なファンが多い。作家としての飛躍が期待されたが、83年、脳血栓で倒れ、八年間にわたる闘病の末、91年6月、肺炎のために死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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もりくに
52
1970年前後、虫明亜呂無さんは、スポーツ、文芸、映画、舞台などに華麗な評論を展開していた。私が一番記憶しているのは、スポーツ論、なかでも「競馬」論だ。寺山修司さんと、双璧をなした。本書は三つの媒体に発表したものを、高崎俊夫さんが編集した。タイトルの「女の足指と電話機」は舞台の話。つかこうへいの代表作「ストリッパー物語」。演ずるのは三浦洋一と宇都宮雅代。ハイライトは三浦洋一の「ひも」が、女の足を電話機にして、客引きをする場面。「ひも」を軽蔑しながら、しかし離れられない「女」がクローズアップされる、と。→2021/04/08
YumiMori
2
虫明の描く女性は、女性の感情は、たぶん女性自身も気付かない なんというか 匂い立つような。 そして競馬好きなアタクシとしては「競馬ニホン」のエッセイがらたまらなくドキドキといたしました。2014/04/02
A2
1
昔って「類は友を呼ぶ」ではないけれどすごい人には必ずすごい人との繋がりがある。まるでネット上の文字みたいに全然色あせない感覚がこの本には溢れてます。現在を生きる平凡な私に置き換えてみれば文学や美術、そして様々なものに興味を持つ好奇心、そういったものすべてが保護色となり、人としての深みを作るしかないと思った1冊。2010/02/16
kozawa
1
映画中心にスポーツ、文学等々幅広いジャンルを追うライターの昭和40年代から50年代のコラムを集めている。これが、面白い。健全なるエロス2009/06/02
Tsuneto Ishi
0
1970年代の虫明亜呂無のナレーション(FMラジオのCM)を思いだした。独特の雰囲気と豊かな語彙、それは話し方と書き物とで全く同じ印象を持ちました。2015/03/11