感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
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岡崎裕美子 短歌 乗り換えも面倒このままずっとこの川も渡って君のところへ 海沿いの君の街街の人々は君に似て魚みたいな顔だち 「はい好きです」また嘘をつくつく度に陰よりどんと溢れだす海 無防備な発言が効いた浴槽でいいと言われた指先を見る 夕立に打たれんとして走り出す少女の腰はゆるやかに燃ゆ 広すぎる大浴場だ全存在かけて泳いでもたったひとり 抱き合って眠れば夢が深くなるぶどうの発芽くらいの熱で 返歌 夜遅く子供が熱を出し慌て氷で冷やし医者へと急ぐ2016/12/14
yumicomachi
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2005年発行の第一歌集。2017年に発行された第ニ歌集『わたくしが樹木であれば』と比べると韻律がゴツゴツしている感じで、そこが魅力的でもある。伝わってくる切実さは同質だが純度は第二歌集のほうが高いか。〈大袈裟にひらく水仙送りくる母 水仙のとなりで眠る〉〈動物の赤ん坊なら簡単に 甥といういきものを抱く〉2017/11/22