感想・レビュー
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kaizen@名古屋de朝活読書会
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佐藤理江 短歌 薬缶持つ我が手首からゆつくりとカップに移るお湯の重みは 子と我とトーストかじる朝食のどれひとつにも湯気が立たない 起き抜けの一杯の水そそがれてゆるびもてゆくみぬちのながれ 水に浮く比重の軽さ人間は時に錘に頼りて沈む 底ひより湧き出づる泡そればかり鍋に煮てをり実りなき日に 水紋の中心は君外側に拡ごる波がわあたしを拒む p13 教室を引き渡す季節めぐり来てマジックリンはリセットのひほひ 旧姓を筆名となす我なるを悲しむ夫のありとこそ知れ p95箱船は火に燃えやすく籠もりたる人を一人も救つてくれず2016/12/14