感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まこみや
38
「本の雑誌」に連載された(今も継続中)ものだが、ほとんど記憶に残っていなかった。こうしてまとまった形で読んでみると、“サバイバル登山家”として面目躍如たる観がある。すなわち、取り上げた言説はほとんどが、生きることの意味を問い、生命とは何かという究極の問いに対する答えを探し求めて選ばれているように見える。生死の間に身を置いてきた経験のしからしむる結果だろうか。好感を抱くのは、どのような対象に対しても、決して感情的にも独善的にもならない、冷静で穏やかな語り口だ。信じるに足る、読んでみようと思わせる。2021/12/04
Sakie
25
理屈ぽくて皮肉屋で真面目で、近くにいたら面倒くさそうな服部文祥が、読むほどになんだか愛すべきキャラに思えてきたのだ。極限状態の中に、服部文祥は生きることの謎を解く鍵を探す。自らの極限体験では飽き足らず、他人の極限である状況と言葉を覗き見て、本質に触れたい欲求はわかるように思う。答えは一向に得られないけれど。『自然界で起こったことは信じる信じないではなく、受け入れるか受け入れないかだ。セメントに囲まれて暮らしている我々が、動物の奥深い能力や自然のありようにまで、人間の常識を当てはめるべきではない』は至言だ。2022/01/07
かおりんご
24
著者が感銘を受けた本の紹介。タイトル借りをしたので、思っていたのとは違っていたけれど、興味を惹く本もちらほらあった。この方との共読本は「十二国記」のみ。私はかなり雑食だと思っていたけれど、知らない分野の本が多かったので、視野を広げてみようと思う。2021/10/06
まいぽん
19
私がわりとえこひいきしている服部文祥氏の書評集。you are what you eat(あなたは食べたものに他ならない) という言い回しになぞらえたタイトル『あなたは読んだものに他ならない』にまず心掴まれます。「読書で触れた世界が時に決定的に私の進む方向に影響し、エピソードが私の世界観を補強し、思いもしなかった考え方が私を救ってくれた」と前書きで語っておられます。文祥氏の思想が真っ直ぐ伝わる書評文が私にとっては紹介されている本よりも価値がありました(もちろん読みたい本は増えてしまったけども)。2024/04/10
月をみるもの
14
人が他の生き物に狩られなくなってから、どれくらいたったのだろう。。そしておよそ一万年前、他の生き物を狩ることが生活の中心だった時代が終わってからは、お互いを狩るようになった。戦争を忌避する一方で、多くの物語の中核に戦争を据え付けずにいられないのは、なぜなのか? 危険をおかしながらも、山登りするのと同じ構造?2021/04/04