出版社内容情報
中国の旅の途上で出会った人々、実感した中国の歴史や文化、親しくなった女性との恋の顛末を描く大陸抒情放浪記。そのひとが歩んできたのは遠く「初恋のきた道」だった。
中国各地を訪問する旅。あるとき飛行機のなかで出会ったのは、洗練された現代的な女性。彼女の出身地は、派手な発展をつづける巨大都市とはかけ離れた、時がとまったような東北の農村だった。
還暦を過ぎてから中国語を学び、中国を旅することを人生の喜びとするイラストレーター、エッセイストの沢野ひとしが、旅の途上で出会ったひとびと、実感した中国の歴史や文化、そして親しくなった女性との恋の顛末を哀愁あふれるタッチで描く大陸抒情放浪記。
沢野ひとし[サワノヒトシ]
著・文・その他
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kei
53
中国好きには、ウンウン、と、たまらない一冊。あこがれの地や人物、建築、書店、文具。古今の文人や歴史を踏まえながら、今の中国を旅します。ただ、単なる旅本にとどまらない部分がひとつ。偶然知り合った女性への、そこはかとない初老男性の執着と諦め。金銭を絡めながらの好色と、それだけでもない、彼女自身の教養、バックボーンへの興味。白いセーター姿のキタキツネに、広大で混沌とした大地に、逞しく悠然とした庶民に、魅せられ絡めとられる著者に、哀愁を感じました。銀河鉄道の夜は、美しくて、やさしくて、そして、せつない、のです。2019/07/29
けい子
19
おおらかな中国の方々と、壮大な歴史ある町を旅行出来るなんて羨ましい。読みながら、自分自身も旅しているような気分になり読み終わりたくなかった。友達を大事にする、笑顔を絶やさない、そんな方々が多い中国。天津に住んでいた事がありますが、食べ物も美味しい‼️。果物なんて最高に美味しかった。しかし中々、中国の良さを日本の方に伝えるのは難しい。2020/02/21
ophiuchi
13
香港・マカオ以外に行ったことがない中国旅行を疑似体験できた。いつも買っている本の雑誌に連載されていたので、だいたい読んでいたが一冊になった本で続けて読むと受ける印象が違う。2019/04/22
なにょう
12
中国、我われの愛憎半ばする中国への傑作紀行でたッ。このおじさん、中国語はまぁまぁと謙遜するが、かなりできるとみた。じゃないと中国のど田舎で渡世できない。コツは「好」「対」「可以」の三つで会話を乗り切るだと。★中国のフツーの女性「キタキツネ」をお供に中国各地を闊歩するかと思えば、上海や北京で書店ブラ歩き。下手な観光本買うよりも、よほど参考になるよ。★どれだけIT化が進展して高層ビルが立ち並んでも、大陸の人の声が大きいのと、美味しいものに目がないのと、もてなし好きは変わらない、だろう。2020/01/19
ジュースの素
12
何度も中国に出かけて気付いたあれこれをしみじみと描いている。機内で知り合った40代女性との交流が続くが、彼女の家は内モンゴルのハイラル。草原とトウモロコソ畑ばかりの平らな土地だ。彼女の生家・竜江も中国最果ての土地に相応しいもの淋しさが漂う。沢野氏の心に染み入るような静かな文がいい。どこに行っても書店や文具店を探し、細々と古書や紙製品を購入する。日本人が不思議に思う事を解き明かしてくれたり、訪問先の下調べをちゃんとして臨む所は彼らしい。初めて中国に行かれる人にもお勧め本だ。2019/06/25