内容説明
作家も編集者も眠らなかった草創期から読者を眠らせなくなった現代まで、13人の証言でたどる戦後ミステリ出版史。
目次
編集生活六十年(東都書房・原田裕)
乱歩編集『宝石』を支えた男(宝石社・大坪直行)
『新青年』から『マンハント』へ(久保書店・中田雅久)
大ロマン復活の仕掛人(桃源社・八木昇)
“もう一人の島崎博”が欲しかった(幻影城・島崎博)
梶山季之から船戸与一・志水辰夫、そして“大衆文学館”(講談社・白川充)
“新潮ミステリー倶楽部”船戸与一『蝦夷地別件』に残された指紋の謎(新潮社・佐藤誠一郎)
『ジャーロ』と呼ばれた男(光文社・北村一男)
まくら詞「北方さんの」からの脱却(集英社・山田裕樹)
本当は恐ろしい日本ホラー小説大賞(角川書店・宍戸健司)
生涯一東京創元社(東京創元社・戸川安宣)
『ミステリマガジン』最長期政権の陰で(早川書房・染田屋茂)
歩く編集室の遍歴(国書刊行会・藤原義也)
鼎談 われらが「ミステリ編集者」の時代―国田昌子×山田裕樹×新保博久
著者等紹介
新保博久[シンポヒロヒサ]
1953年、京都市生まれ。ワセダ・ミステリ・クラブ卒。卒業後、権田萬治氏に師事。2001年『日本ミステリー事典』(権田氏と共同監修)で本格ミステリ大賞、2003年『幻影の蔵 江戸川乱歩探偵小説蔵書目録』(山前譲氏と共編)で日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いちろく
20
著者と編集者の関係。それは、水と油なのか?それとも、混ざり合って素敵な作品を産み出すキッカケになるのか?長年、ミステリ畑の編集に関わり引退した元編集者のインタビュー形式で綴られる本書。とある名作が誕生した裏話ややり取り等、普段は出版された本という形でしか目にしない私には興味深く読めた内容も多数。特に、大好きな鮎川哲也賞の名がついている鮎川哲也さんのエピソードには、思わずクスリと。問題は、更に読みたいミステリ本が増えてしまった事。2015/09/21
緋莢
15
江戸川乱歩が編集していた『宝石』を支えた男、未完の伝奇小説『神州纐纈城』を復刊させ、後代に大きな影響をもたらした男、数々の人気作家を『幻影城』でデビューさせた男etc草創期から現代まで活躍した編集者13人へのインタビューから、戦後ミステリ出版史を解き明かす。 2015/09/06
しんこい
11
編集者が出てくる小説で、作品を作るのは作家だとののしられていましたが、この本に出てくる人たちは作家が活躍する舞台を設えたり、作家自身が切り捨てた部分を見つけて新たな境地を開かせたりと、この人がいないとあの作品は出なかった、読む機会はなかったみたいなお話がたくさん。昔の大学生は大衆文学を読まないのが普通とか、そんな感覚もありませんでした。大坪氏は小林作品のゴム仮面とは思えないが、あれは創作かなぁ。2015/09/18
まさむね
11
昭和時代を中心にした、ミステリ界の伝説的な編集者へのインタビュー集。とにかく貴重な証言だらけで、今の日本のミステリがこれだけ成熟したのは、この方々が道を作ってくれたからに他ならないと痛感する。世代を問わず、全てのミステリファンにとって必読の一冊だと断言したい。2015/06/01
たんぽぽ
10
良い本、優れた作家が生まれてくる裏には有能な編集者がいた時代のお話。編集者が面白いからこれやりたい!と思えば、会社もそれを許した時代のお話。今はずいぶんと窮屈で息苦しい時代になっちゃたんだなぁと思う。 こういう貴重な話も、いまどきの若者からみたら、じーさんの自慢話になっちゃうのかしら?そうだったら悲しい。2015/07/03
-
- 電子書籍
- ゲーム オブ ファミリア-家族戦記-【…