内容説明
黒人音楽のグルーヴの秘密、知られざる戦前日本ジャズ文化、巨匠自作の映画音楽について、あのノーベル賞候補作家と音楽の関係、思わず落涙したロックの名盤、厳選したブック&ディスク・レヴュー…。21世紀のカルチャー・シーンを疾走する新世代旗手の軌跡。
目次
第1章 覚書(二つになる一つのもの(グルーヴとは何か?)
覚えていないことを思い出すために(レコードとは何か?))
第2章 作家たち(クリント・イーストウッド 世界最強の老人の鼻歌;坂本龍一 音楽の毒の構造化について ほか)
第3章 ジャズ史つれづれ(バンド・スタイルの変遷から見るジャズ史;ビル・エヴァンスの生涯と音楽 ほか)
第4章 ライナー・ノーツ(セシル・テイラー『ALMEDA』―鍵盤上で散乱するステップ;シカゴ・アンダーグラウンド・トリオ『スロン』―危機、即時性、手元にあるもの ほか)
第5章 MUSICS & BOOKS(MUSICS;BOOKS ほか)
著者等紹介
大谷能生[オオタニヨシオ]
1972年生まれ。音楽家、批評家。「sim」、「mas」、「相対性理論と大谷能生」など様々なグループやセッションで演奏活動を行うほか、雑誌、WEBで旺盛な執筆活動を展開中。インディペンデントな音楽シーンから登場した気鋭の書き手として注目を集めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zirou1984
24
2001年から2013年にかけて、多数の媒体に発表した文章を集めた散文集。音楽家であると同時に批評家である著者同様に、本作でも虚実織り交ぜたWeb日記、日米におけるジャズ黎明期における考察、果ては映画や小説といった具合に無数の境界線を越境しながら、その内側にある表現の核を切り取ってくれる。特に、菊地成孔のキャリアの始まりとなったティポグラフィカとその表現にあるリズムの「訛り」や「揺らぎ」についての解説は今まで気になりながらも上手く言語化できなかった点が明晰になり、音楽の魅力をより感じさせるものであった。2017/08/30
vinlandmbit
7
図書館本。返却迫り駆け足で読みきった感じ。エッセイ的内容だがあまり内容響かず。。2015/05/09
クローカ
4
サブカルチャー評論本。音楽や映画、日本ジャズ史まで縦横無尽というか好き放題というか、理知的でありながらスピード感のある書き口で突っ走っていくさまは本当に痛快です。個人的には『大谷能生による菊地成孔分析』というのが特においしい感じでしたが(笑)、それ以外にも興味深い知見がいくつも。『いま、記録されている音楽を聴くということ』に対する問いかけが繰り返されていて、これは僕も自分で考えてみなければな、と思った次第です。良かった。2015/05/28
さえきかずひこ
4
とくに書き下ろしの覚書、二つになる一つのもの(グルーヴとは何か?)、覚えていないことを思い出すために(レコードとは何か?)がともに素晴らしい。音世界をどのようにことばでもって切り出せば良いのか、その仕組みと秘密に触れられる手がかりが本書にはいっぱいつまっている。2013/06/12
Norihiko Shr
1
尽く書きっぷりが気に入らない。だが気になるんだよな。最後は一気に読んでしまった。2014/09/06