感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
不在証明
11
ほぼSFについての話で占められる本書。評論や考察よりも、現在(と言っても十年以上前だけど)までのSFの流れについて大局的に見ている印象。著者は相当な読書量らしく、生半可な知識じゃ追いつけません。星新一について書かれた話が良かった。―「星新一という作家のもたらすアイディアは、書かれなかった物語のアイディアではないのか、という気がする。」―これは、かなり的確かつ最大級の賛辞ではないかと思う。2016/06/14
CCC
7
エッセイ集。女性作家の作風とか黒人音楽とかに対する感覚とか共有できないものはあるけれど、作者の感性が見えるので興味深く読めた。80年代に「最新」の話を語り、ハインライン死亡の話題が出たと思ったら、まだ十二国記シリーズのイメージがない時期の小野不由美『魔性の子』の話題があったりする。そんなところにリアルタイムの歴史の面白さを感じた。英語への抵抗が薄く洋書の話題が多いのも強みか。注目も翻訳もされずに終わったB級C級作品の言及も多く、そこはまるでカバーできないが、知らない世界が少し見えて楽しかった。2025/02/04
kokada_jnet
5
主に、未訳の本の紹介や、海外でのコミック・音楽・お店事情などを伝えていたコラム集。著者が読者の知識量をどのレベルに設定していたのかがわからないが。自分がこのコラムを熱心に読んでいた10代後半から20代前半には、書かれている内容があまり理解できなかったなあ。その後、自分も知識が増えて、未訳だった本も訳されたしして、ようやくこのコラムの面白さがわかるようになった。方向性は、植草甚一のコラムなどと似てたんだなあと、改めて。2010/04/21
黒い森会長
4
「本の雑誌」に1979年から2001年まで、20世紀最後の20年間に掲載したエッセイ集。SFの話題がメインだが、ロックやいろいろな本の話題がたくさん。この時期、個人的には、大学、就職、結婚等と重なるので、思わずノスタルジーに浸ってしまった。Jヴァーリーが新人なんだ。とか、ドラクエⅢだとか・・・。それで、エッセイも20年分ともなると、「時代」というより、もう「歴史」を語っているよ。ほんと。2012/11/12
スターライト
4
「本の雑誌」連載中のコラム「連続的SF話」からセレクトして、一冊にまとめた本。SFの話もあるが、それ以外の本やロックを始めとした音楽、仕事で訪れた海外での出来事を気ままに書いたエッセイ集。なにしろ79年から01年までの話題が入っているので、まるでタイムマシンで旅行したような気分。未訳の本も取り上げられているが、SF作家の名言集とかは、どこかでもっと紹介してほしいと思った。2010/08/13