内容説明
ハードボイルド性とは何か?混濁した現代に、主人公はどう在り、何と闘い、ストーリーはどこへ向かうべきなのか?現在形のヒーロー像検証を中心に、エルロイ、石田衣良の時代性、チャンドラー翻訳が残した功罪、さらには馳星周をM.ギルモア、山川方夫ら他ジャンル作家の共通項とあわせて考察―。小説の核を見据えつつ批評性に富んだ論を多視的に展開するノワール時代のハードボイルド新地平。
目次
ネオ・ハードボイルドの時代は終わった?
私生活を拒む単独者の“暴力”
孤独な“空間”を捨てた老探偵の終焉
私立探偵にとっての私生活とは何か
探偵が“名無し”であることの必然
バークと悪党パーカーの違いとは何か
タフガイ・ヒーローの“試練”としての女性
フランシスの小説と『連鎖』の決定的な違い
ショーペンにとっての複雑な人間関係の真意
マット・スカダーにみる精神の均衡としての“酒”〔ほか〕