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出版社内容情報
世の中のグレーゾーンに切り込む著者が、古今東西の名作物語をパロディ化。毒と風刺とユーモアが効いた「現代寓話集」。
内容説明
鬼ヶ島に2度目の“襲撃”を試みる、自称ジャーナリストの桃太郎、最近スマホを購入した、「オオカミがでたぞ!」で有名な羊飼いの少年―など、古今東西の名作物語をパロディ化しつつ、いまの日本の闇、問題点を痛烈に風刺した、現代の寓話集。
著者等紹介
森達也[モリタツヤ]
1956年、広島県生まれ。映画監督・作家・明治大学特任教授。98年、オウム真理教信者達の日常を映したドキュメンタリー映画『A』を公開。ベルリン国際映画祭などに正式招待され、話題となる。2001年、続編『A2』では山形国際ドキュメンタリー映画祭において特別賞・市民賞を受賞。16年、作曲家・佐村河内守氏に密着・撮影した『FAKE』も大きな話題に。19年公開の『i―新聞記者ドキュメント』は、キネマ旬報ベストテン(文化映画)1位を獲得。作家としては、10年に刊行した『A3』にて第33回講談社ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちさと
20
思想的に一致する部分はそう多くはないはずなのに、つい手にとってしまう。丁寧に紡がれた言葉には説得力があるし、知性そのもを感じずにはいられない。森達也の主張は一貫して「メディアリテラシーを持とう」。切り抜きやフェイクニュースが頻繁に飛び交うようになった昨今、今まで以上にメディアの伝える情報を批判的に、主体的に読み解く能力が求められる。参院選が終わってから農家を敵に回す石破政権を信じた農村票。この物語の右には、左には、何が隠れているんだろうと探ってみる、現代寓話の連作集。好き嫌いは分かれちゃうかも。2025/07/23
lily
11
メディアは世間の写し鏡、自衛意識、ステレオタイプ、セキュリタイゼーション。良い意味で相変わらずの森達也節を古今東西の名作物語に入れ込むとこうなる、という話。前作『王様は裸だと言った子供はその後どうなったか』に引き続き、いやー面白かった。石のスープやプロメテウスとパンドラの話など知らない寓話も多く勉強になった。特に「雪女」のくだりは絶品。若干無理矢理なところもあるが、それをひた隠しにせず「無理矢理です」と書ける筆致がすごいよなー。2024/04/12
sasha
7
古今東西の童話・昔話をベースにして、現代のグレーゾーンを描いた寓話集。元々、童話とか昔話って怖いよね。本書は通読すると若干くどさが鼻につくので拾い読みがおすすめかな。2023/01/05
ローリー
7
図書館で借りました。題名からのイメージ的に、青柳碧人さんの「むかしむかしあるところに、死体がありました」のような作品かと思って借りたのですが、さにあらず。昔話や童話などをもとにして現代風に批判してみたり、一面的な見方ではなく、多面的な見方をすべきではないのか?と言う問題提起は面白かったです。なので表題作にもなっている桃太郎のパロディは良かったですが、作が進むにつれてそれがだんだんくどくなってきました。2022/02/01
A Y
6
発想が面白いなと思った。寓話と現代を交差させつつ自虐や風刺で楽しませる短編。注文の多い料理店でおかしいと思いつつピンチになるまで気が付かなかった二人と、自民党政権がおかしいと思いつつピンチになるまでのんびりしている日本国民を重ね合わせるのとか非常に興味深かった。題名のユニークさに惹かれてたけど題名通りというか…もうひとひねり欲しかったかな。若干私には刺さりきらなかった。2025/03/07