内容説明
大正14年に生まれ20歳で終戦を迎えた三島由紀夫は、「人間宣言」で生き長らえた昭和天皇を軽蔑していた!!後年政治色を強め、皇国主義者となり最後「自衛隊を天皇にお返しする」と叫んで割腹自殺した三島の真意はなんであったのか?自決直前の言動や彼の文学作品から「愛国」の仮面に隠された素顔に迫る問題作!!
目次
第1章 三島由紀夫と人間になった天皇陛下
第2章 『永遠の0』と『英霊の聲』
第3章 三島由紀夫のアイドル願望
第4章 本当は昭和天皇と心中したかった
著者等紹介
板坂剛[イタサカゴウ]
1948年6月、北九州門司に生まれ、3歳より8歳まで山口県下関市で育ち、同地の文化に多大な影響を受ける。1964年、高校に進学した年に観たイングマール・ベルイマン監督の『沈黙』とアラン・レネ監督の『去年マリエンバートで』に感銘を受け、映画監督になろうと決意。1967年、日本大学芸術学部映画学科に進学。翌年勃発した日大闘争で全学共闘会議の活動家として破壊活動に従事。現在は執筆活動の傍ら、フラメンコの舞踏家としても舞台に立ち、創作舞踏作品も手がけるなど異彩を放つ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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猫丸
8
なぜ殺さなかったのか、その答えが書かれていたか、少し前に読んだ本なのでおぼえていない。「2.26の磯部浅一が憑依して宮城占拠が不可能であると囁いた」みたいな結論だったかな?(ンなわけない)。付箋は1枚だけ。それも三島と関係のない「お富さん」の替え歌ヒロヒト天皇ver.の歌詞(p.26)に貼ってある。「♪死んだはずだよ〜」とは敗戦時の責任の取り方。1950〜60年当時の庶民感覚として存在していたらしい。全体的に懐古エッセイの気味であり、真摯に三島に向き合おうとする人には腹立たしいかもしれない。2023/11/14
いりあ
8
三島由紀夫研究家として知られる板坂剛氏の三島文学論です。「英霊の聲」、「憂国」、「金閣寺」、「仮面の告白」などの作品から三島の昭和天皇への想いを紐解きます。そんなこともあるかなと思う半面、言い過ぎではないだろうかと思う部分もあります。また、途中、三島以外のいろいろな話題に飛んでってしまう部分もあります。そして、この書名のインパクトが凄すぎです。よく出版が出来たなと思ったのですが、鹿砦社ならありえると思ってしまいました。2018/08/03
山田
1
三島評は,政治的側面と文学的な見地からで大きく分かれる。文学的見地からは「三島の愛を達成するためには天皇を殺すしかない(偶像破壊)」。一方,三島は天皇を軽蔑・憎悪しており,死の直前に皇居に向かって「天皇陛下万歳」と叫んだのは,人間宣言した天皇の転向へのあてつけだった。/1960年から1970年の間に,政治嫌いだった三島は大きく変わり,政治活動にのめり込むようになる。その中でも死への憧れは変わらなかった。/1970年万博開催。赤軍派,よど号を乗っ取り北朝鮮へ。三島「先を越されたか。」石原慎太郎と絶交,自決。2020/02/09
とむ
0
内容は散漫で、他者を貶める記述も多く、三島由紀夫の実像は見えてこなかった。2021/07/04
きゃしー
0
ダンサーにして作家、三島由紀夫研究家でもある作者が全共闘の時代の人々が抱えていたジレンマを描写しつつ、三島由紀夫の戦後観を検証していく本です。今流行している戦争を美化したような映画がなぜ危ういのかも書かれていて、やっぱり娯楽作品だけでなく純文学もバランスよく読まなければと考えさせられました。三島由紀夫の人生については他の雑誌で読んでからこの本を読んだので付いていけましたが、ある程度知識があったほうが読みやすい本だと思いました。2021/02/06
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