内容説明
犯罪捜査の切り札として、DNA鑑定がマスコミ等で盛んな賞賛を浴びている。「100万人の中から1人を識別できる」と言わる高度な識別能力は「科学的」であり、かつ揺るぎようのない真実であるとして広く受け入れられようとしている。しかし、DNA鑑定は、けっして個人を特定できるような方法ではなく、また統計的な作為をもって鑑定結果が出される場合もある。とりわけ問題なのは、人権感覚に乏しい日本の警察が「科学」としてふりかざすとき、数多くの冤罪が生み出されていることである―。本書はDNA鑑定の実態を明らかにし、その汎用化に大きな疑問符を投げかける。
目次
第1部 DNA鑑定とは何か?(DNAで何が分かるか?;DNA鑑定の誕生;DNA鑑定の実際;絵で見るDNA型鑑定)
第2部 DNA鑑定と事件(足利事件;大分みどり荘事件;幼女連続誘拐殺人事件―M君事件;飯塚事件)
第3部 資料編(MCT118型鑑定の統計学的問題点;DNA鑑定事件史)