内容説明
旧ソ連のチョルノービリ(チェルノブイリ)原発事故とは何だったのか?著者は30年後の現地を訪れ、事故処理に投入された兵士のその後、汚染地域の住民や環境影響を調べるため、聞き取り調査を行い、公文書館で貴重な文書を発掘する。放射能を封じ込めたつもりでも、放射性同位体は独自の環境を作り出し、まるで繁殖するかのように、ひとつの事故が別の事故を生み出し、事故の影響は無限に続いてゆく。福島原発事故も含め原発事故は、社会や国家が管理することの不可能な、長期にわたる健康影響や環境破壊をもたらすことを明らかにする。
目次
序章 生き残るためのマニュアル
第1部 事故の真相
第2部 放射能地獄に生きる
第3部 人間がつくりあげた自然
第4部 黙示録後の政治
第5部 医学的な謎
第6部 鉄のカーテン越しの科学
第7部 生き残りの達人
終章 ベリーを摘んで未来へ
著者等紹介
ブラウン,ケイト[ブラウン,ケイト] [Brown,Kate]
マサチューセッツ工科大学Thomas M.Siebel卓越教授(科学史)。歴史、科学技術、生政治(身体と生命が管理対象となる支配体制の特徴)の接点が大惨事を引き起こし、荒地を残していく現象を追求。旧ソ連と米ワシントン州の核兵器開発施設と隣接する理想都市をテーマにした『プルートピア:原子力村が生みだす悲劇の連鎖』(講談社、2016年)の原著(2013年)はアメリカ歴史学会最優秀賞他五つもの学会賞を受賞。本書Manual for Survivalは二つの東欧史関連賞を受賞
阿部純子[アベジュンコ]
元愛媛大学非常勤講師。反核平和運動を中心に通訳・翻訳に従事
後藤倫代[ゴトウミチヨ]
神奈川県立高等学校英語科教員
繁沢敦子[シゲサワアツコ]
神戸市外国語大学外国語学部英米学科教授。専門はアメリカ現代史。広島で原爆報道に携わった経験を原点に核をめぐる言説形成を研究
藤田怜史[フジタサトシ]
岐阜市立女子短期大学国際コミュニケーション学科准教授。専門はアメリカ現代史・経済史
本行忠志[ホンギョウタダシ]
大阪大学名誉教授。専門は放射線生物学。主に低線量被ばくにょる人体影響についての研究
日野川静枝[ヒノカワシズエ]
拓殖大学名誉教授。専門は科学史・技術史
フィールド,ノーマ[フィールド,ノーマ] [Field,Norma]
シカゴ大学名誉教授。福島原発事故の意義を追求中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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