内容説明
福島第一原発の事故後、国は被ばくの限度をそれまでの年間1ミリシーベルトから20ミリシーベルトまで引き上げた。被ばくの影響は大勢の住民に及ぶので、本来であれば被ばくの限度を引き下げるべきであるが、正反対の措置がとられたのである。これにより、特に放射線の影響を受けやすい子どもたちは、放射線障害を発症するおそれがある。この20ミリシーベルトの値は、その理論的根拠が明確ではなく、また、この値が規定されている法律はない。この値は理論的にも、法的にも根拠がないのである。それなのに、被災地の人々はこの値に基づいて汚染地区に住むように強制され、子どもたちが被ばくの実験台にされている。本書では、子どもたちを被ばくの実験台にしようとするのは、いったい誰なのか―それを明らかにする。
目次
1 『てんまつ記』以降のてんまつ
2 1ミリシーベルトはどこに規定されているか
3 20ミリシーベルトは誰が決めたのか
4 20ミリシーベルトの根拠はあるのか
5 被ばくの実験台にされる子どもたち
6 まとめとおわりに
著者等紹介
松田文夫[マツダフミオ]
1971年東京大学工学部卒業。民間企業、経済産業省などに勤務。2020年3月まで原子力規制庁技術参与(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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