内容説明
途上国を支援するODAなどによる開発プロジェクトが、さまざまなかたちで深刻な環境問題、社会問題を、現地で引き起こしている。本書で取り上げている、鈴木宗男スキャンダルで有名になった、ケニアのソンドゥ・ミリウ水力発電事業もそのひとつだ。非政府組織(NGO)として、政府系金融機関の国際協力銀行(JBIC)が融資する開発プロジェクトが及ぼす環境・社会問題に取り組んできた若い研究者達が、個別プロジェクトの調査、分析を踏まえ、こうした問題の再発防止と改善のための環境ガイドラインを提言した書。
目次
第1章 なぜ環境ガイドラインの強化が必要なのか
第2章 誰のための水資源開発?―インドネシア・ルヌン水力発電所及び関連送電線建設計画
第3章 「環境保全型」投融資事業の問題点―インドネシア・ムシ・パルプ事業
第4章 暴力の影がつきまとう重債務最貧国のダム事業―ケニア・ソンドゥ・ミリウ水力発電事業
第5章 土地喪失を懸念する先住民族―フィリピン・サンロケ多目的ダムプロジェクト
第6章 環境改善プロジェクトが脅かす漁村の暮らし―タイ・サムット・プラカン汚水処理プロジェクト
第7章 環境ガイドライン策定に向けたプロセス
第8章 開発金融機関の環境配慮はどうあるべきか―JBIC新環境ガイドラインへの提言