内容説明
カナダ北西部・アルバータ州北部に広がる世界最大・最後の亜寒帯林。鬱蒼と茂るアスペン・ポプラなどの樹林にバイソンが群れ、先住民族が暮らす。パルプを確保するためこの大森林に目を付けた日本の多国籍企業は、大規模な森林伐採権を手に入れた。企業誘致に積極的な州政府、抵抗する先住民族や自然保護運動。カナダ深部で繰り広げられる地球最後の大森林をめぐる、知られざるたたかいの記録。
目次
ザ・プライズ‐亜寒帯林という宝物
パルプ症候群‐アルバータ森林利用史
見える手‐林業と多角化
大昭和‐富士市の善良なる仏教徒
平和なき「平和の谷」‐大昭和とルビコン民族
アルバータ・パシフィック社(成長の政治経済学;環境保護派の反撃)
将来に向かっての後退
新しい世紀・変わらぬ現実?
著者等紹介
アークハート,イアン[Urquhart,Ian]
アルバータ大学教授、1987年にブリティッシュ・コロンビア大学にて政治学で博士号取得。同大学ではサケ漁をめぐる政治問題を研究。アルバータの政治に関する論文、著書多数。近年では同州のチンチャガ保護区をめぐる政治紛争に関する著作がある
プラット,ラリー[Pratt,Larry]
ロンドン大学(school of economics)で博士号取得。『タールサンド』『アルバータにおける社会主義と民主主義』『幻想なき社会民主主義』『プレーリー資本主義』など政治経済学に関する8冊の著作(編者を含め)がある。〔現在は大学を退官〕
黒田洋一[クロダヨウイチ]
1954年、東京生まれ。東京教育大学農学部中退後、生活クラブ生協、市民エネルギー研究所(反農薬東京グループ、ボパール事件を監視する会などで活動)を経て、1987年、熱帯林行動ネットワークの設立に参加。以後10年以上にわたって事務局長を務める。森林問題を中心に世界各地の日系多国籍企業の投資活動に関連する環境問題の調査やアドボカシー活動に携わる。またこの間多くの大学で地球環境論を講じる。1991年、アメリカのゴールドマン環境賞受賞
河村洋[カワムラヒロシ]
1966年、広島生まれ。慶応大学法学部政治学科卒業後、ロンドン・スクール・オブ・エコノミックスにて国際政治経済学修士課程修了。グローバル経済下のガバナンスや安全保障問題に関心を持つ
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