出版社内容情報
本書は既存の専門書に留まらず、アメリカの公文書や大学の私文書、フィールドノート、手紙を含めたアーカイブ調査と、オーラル・ヒストリーを一冊にまとめた研究書である。
オーラル・ヒストリーは2003年8月、ミシガン州を訪れた筆者が、アメリカ日系人の人類学者イシノ・イワオ(石野巌1921-2012)に占領下時代の日本研究の実態を直接聞いた内容を根幹としている。
その証言と資料から、戦後いかにアメリカの人類学が日本研究を通じて変容していったのか、そしていかに日本へ影響を与えていったのかが語られる。
その意味で、資料調査・分析・インタビューにより明らかになった「アメリカによる戦前・戦後の日本研究」であり、アメリカの人類学者による日本研究を網羅した画期的論考といえる。
日本人の心理と行動を描いたルース・ベネディクト『菊と刀』と比肩する、もしくは超える書かもしれない。
目次
第1章 序論:応用人類学の戦争協力(アカデミズムと国家戦略の媒介者:クラックホーン;国民性研究:エンブリー、ミード、ベネディクト ほか)
第2章 ミシガン大学の日本研究:戦中の陸軍日本語学校(ミシガン大学の陸軍日本語学校;地理学者ロバート・ホール ほか)
第3章 GHQの人類学者:占領期の調査と政策(民間情報教育局の概要;民間情報教育局の日本社会調査 ほか)
第4章 戦後の日本研究:ミシガン大学日本研究センターを中心に(日本研究センター創設;岡山フィールドステーション ほか)
第5章 ABCCの被爆者調査:スコット・マツモト(ABCCの人類学者;ABCCの被爆者調査 ほか)
補論 マルクス主義と日本の人類学:有賀喜左衛門と石田英一郎
著者等紹介
中生勝美[ナカオカツミ]
1956年広島生まれ、中央大学法学部卒業、上智大学文学研究科博士後期単位取得退学、京都大学にて博士(人間・環境学)。現在、桜美林大学リベラルアーツ学群教授。専門分野は社会人類学、歴史人類学、植民地研究。中国、香港、台湾、沖縄をフィールドに社会構造、歴史変化、植民地文化について調査研究を進めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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