出版社内容情報
横浜の人々にとって、メリーさんを語ることは人生を振り返ることでもあった。かつて横浜の子供達は両親に尋ねたものだ。「あの人は何をしているひと?」と。メリーさんを取材して20年の著者が、新たな謎解きの旅へといざなう。
内容説明
横浜の人々にとって、メリーさんを語ることは人生を振り返ることでもあった。街角から姿を消して4半世紀。今なお話題の人であり続ける彼女は何者だったのか?取材期間20年超。本書は、フェミニズムやトラウマ、アウトサイダーアート、民俗学、谷崎潤一郎などを参照しつつ、新たな謎解きの旅へといざなう書である。
目次
プロローグ
第1部
第2部
第3部(メリーという名前にまつわる考察;伝説化し語り継がれるようになった四つの背景;将校は実在したのか;彼女はなぜあの姿で街角に立ったのか;谷崎潤一郎とヨコハマメリーの点と線;白粉の謎;彼女はなぜ伝説になったのか)
著者等紹介
檀原照和[ダンバラテルカズ]
1970年、東京生まれ。ノンフィクション作家。日本文藝家協会会員。法政大学法学部政治学科にて戦後の横浜市の枠組みをつくった田村明のゼミで学ぶ。舞台活動を経て文筆業へ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つちのこ
49
旧版にあったヨコハマメリーの謎を更新し続けるという著者の宣言をもってしての刊行。新たな考察として谷崎潤一郎との接点や白粉の謎、彼女がなぜ伝説になったかを収録している。「ヨコハマメリー学」と称し、著者がなぜそこまで彼女に固執し、追っかけるのか旧版同様まだピンとこない。異形のものや実態が掴めないUMAやUFOには誰もが興味をもつが、実在したメリーさんとなると興味本位ではすまされない。すべての謎は本人であるメリーさんにしか分かる由もないからだ。彼女の故郷や墓石の写真まで掲載したのはやりすぎではないかと思う。 2025/01/22
oldman獺祭魚翁
36
著者らしいヨコハマ・メリーさんの考察本。以前に出た本の増補改訂版で、内容的には最後の章が新しい考察が有り、他にも「メリー」という固有名詞などの意見が書かれているが、些か我田引水の感は否めない。彼女も故郷へ戻り、既に故人となられているので、僕ももう彼女の生き様を追うのは止めようと想う。2024/08/31
makoto018
7
戦後から90年代中頃まで、横浜の路上に立っていた老街娼・ヨコハマメリー。横浜市民の誰もが知る生きる伝説だった彼女を追うノンフィクション。増補改訂版の今回は第3部が肝。ヨコハマメリー学とも言える考証が興味深い。モボモガが憧れた欧州映画、ロリータファッションとの共通点、文豪谷崎との接点、横浜の街の歴史、アウトサイダーアートなど様々な視点からの検証。街角の奇人→ミナトヨコハマのアイコン→最後のパンパン・戦後の生き証人→戦後を生きた老女の人生→心の交流の物語という、時代ごとに付与される物語の変遷がよく理解できた。2024/09/07
ナツ
5
読み応え抜群で良かった! 実際のところはご本人が亡くなられてますので真相は分かりかねますが色々調査して港のマリーのおおよその人生は分かったかも 本当はまた別の真実があるかもしれませんが2024/09/10
chuji
2
久喜市立中央図書館の本。2024年7月初版。『ヨコハマメリー』さんの実像がわからない。2024/09/12