内容説明
昭和13年、諜報、謀略、防諜活動のための工作員養成を目的に作られた陸軍中野学校。軍服を脱ぎ、背広を着て、「見えない戦争」を戦った諜報エリートたちは、徹底した教育・訓練を受け、世界各地で“秘密工作”の数々を実行した。知られざる秘密戦学校の実態。卒業生たちの戦後。長年、中野学校の取材を続けてきた斎藤充功の仕事が、ここに結実する!
目次
序章 帝国陸軍のインテリジェンスの歴史
第1章 異色の軍学校「陸軍中野学校」とは、どんな学校だったのか
第2章 封印されてきた数々の極秘計画
第3章 特殊工作の真実
第4章 一四人の証言
第5章 陸軍が主導して創った巨大商社
第6章 陸軍中野学校と陸軍登戸研究所の強い絆
第7章 陸軍中野学校と戦後情報機関
第8章 受け継がれた中野の遺伝子
第9章 スパイマスターの虚構と現実
資料
著者等紹介
斎藤充功[サイトウミチノリ]
1941年東京市生まれ。ノンフィクション作家。東北大学工学部中退。陸軍中野学校に関連する著者が8冊。共著を含めて50冊のノンフィクションを刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
21
陸軍中野学校に関する数々の著作を発表してきた著者の集大成的な作品。日米開戦の仕掛人がスターリンだったとの見方や、陸軍中野学校関係者によるマッカーサー暗殺計画、下山事件と中野学校卒業生の関係など、興味深い話が多い。「黙して語らず」を貫く関係者への取材を続けながら真相に迫ろうとする著者の姿勢が垣間見える。◇取材時87歳になる関係者が著者との待ち合わせ場所の喫茶店で著者が入ってくる動きを観察し、ジャーナリストだとすぐに察知、中野時代の習性が身についていると笑う。この辺りもノンフィクション本の魅力の一つ。2022/10/21
井上裕紀男
9
昭和通商の話も知りたく読み始めましたが、「あの出来事」「この事件も」中野学校を介したのかと、引き込まれます。 外国の少数民族にも諜報員として参画させた様子。南樺太戦線はやはり壮絶だったことが窺える。 スパイ映画でも描かれますが、秘密作戦に従事すれば記録に残らず、苦々しい戦後を生き抜かれています。著者の取材を通じて、事実を知るご家族も。 自衛隊情報学校や北朝鮮の軍事教育に影響を及ぼしたのか?戦後の阿片密輸事件との関係は?謎は多い。 学校教程や昭和通商の定款が巻末に収録。語り継ぐ必要がある取材記録です。2025/04/24
ten
1
全日本男の子の夢、陸軍中野学校。 著者のインタビューにより、当時の中野の様子が次第に明らかになっていく。ある人は口を閉ざして何も語らない。その様に生々しさを感じる。 チェックがザルな私でも、8箇所程誤植を見つけてしまった。恐らくその倍はあるのではないか。 校正は自費出版に近いが、この時代のこの手の話に興味がある人にはおすすめ。2022/02/18
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- 和書
- 黒い睡蓮 集英社文庫