内容説明
強いヒューマニズムと人間主義、人道主義/社会悪への強い憤りと警鐘/明快な善と悪の対立/骨太の語り口/視覚的描写の力強さ/光と影の美しさと鮮烈な造形美…黒澤明の映画全30作品の真価。黒澤明が生きた時代と世相を浮き彫りにする。日本映画を長くリードし、海外映画にも多大な影響を与えた「世界のクロサワ」。公開時の映画評(酷評も!賞賛も!)を時系列に紹介する、黒澤映画評クロニクル。黒澤映画の何が評価され、何が評価されなかったかを緻密に論じていく。
目次
序章 黒澤明―視覚の人
第1章 『姿三四郎』から『野良犬』まで
第2章 『醜聞(スキャンダル)』から『隠し砦の三悪人』まで
第3章 『悪い奴ほどよく眠る』から『赤ひげ』まで
第4章 『どですかでん』から『乱』まで
第5章 『夢』から『まあだだよ』まで
第6章 表現主義・ドストエフスキー・巨匠の条件
終章 黒澤映画―何が評価されてきたか
著者等紹介
岩本憲児[イワモトケンジ]
1943年、熊本県八代市生まれ。早稲田大学名誉教授。映画史・映像論専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぐうぐう
29
黒澤明映画の公開時の批評を読む『喧々囂々』。『羅生門』は日本人には理解されなかったがヴェネツィア映画祭グランプリを受賞したことで国内でも潮目が変わったとか、黒澤作品を論じる本にはそういった定説がまことしやかに書かれているが、実際のところはどうだったのか。著者は当時の新聞・雑誌に掲載された映画評を丹念に収集し読み解いていく。黒澤のデビュー作は『姿三四郎』だが、それ以前に脚本家として評価されていた黒澤に対して、この監督デビュー作はすでに注目が高かったらしい。(つづく)2021/07/28
コリエル
2
黒澤明の映画がそれぞれ発表当時にどう評されたかについてを紹介した本。最も有名な七人の侍でも絶賛とはいかないのは映画批評家が現在よりも『権威』があったからなのか。黒澤に好意的なのは初期からだいたい画面構成や演出について言及したものが多い印象。小説でなく映像作品なんだからまあ本懐と言うものか。2021/05/21
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