内容説明
フランスを震撼させた日々。パリ大学ナンテール分校を発火点とし、全土に拡がっていった「5月」。支配・管理の構造を解体しようとする運動と、これを維持し温存しようとする体制との攻防を軸に、貴重な証言と資料を交え、その全貌を明らかにする。
目次
第1章 発火点―パリ大学ナンテール分校(“黄金の三十年”の終わり近くに;社会の総管理化と世代の断絶;教えるもの・教えられるものの分離の廃棄;社会主義思想の再構築;三月二十二日運動の形成へ)
第2章 フランスを震撼させた日々(ナンテールからソルボンヌへ;燃えるカルチエ・ラタン、五月三日‐九日;バリケードの夜、五月十日―十一日;ゼネストの拡大、大学占拠から工場占拠へ;ユートピアの夢、壁の詩;引潮、取引、分裂、復讐劇)
第3章 六八年五月の精神と現実(運動の本質と内外の敵;活動家たちの変節と言行不一致)
第4章 あの日々からの三十年―継承と逆流(自律への志向を定着させた側面;荒廃を深めるフランス社会)
第5章 いま、なぜ、六八年五月を語るのか
著者等紹介
江口幹[エグチカン]
1931.2‐2019.1。職業軍人の子として岩手県に生まれ、東京で育つ。私立成城中学を経て仙台の陸軍幼年学校へ進むが14歳2年生の時に敗戦を経験。復学した成城中学をその年3年生で中退、15歳で家出。1947年『週刊平民新聞』を通じてアナキズムを知る。同紙専従の後、大阪の労働組合の専従を経て東京にもどる。50‐53年結核のために療養生活、その間にヴァレリーと出合う。54年交通関係の業界紙記者となり、60年からはフリーの編集者兼ライター。65年仏語学習のため渡仏、仏のアナキストと交流する。67年ゲランの『現代のアナキズム』を翻訳・刊行。68年に再度渡仏して五月革命を体験、またカストリアディスの著作を知る。60年代後半より五月革命や欧州での社会運動の潮流の紹介や評論活動を展開した。74年からはカストリアディスの理解に努め、80年に入ってカストリアディスの翻訳と紹介に務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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