内容説明
ヒルダ・アダムスとパットン警視の邂逅、姿を消した令嬢の謎、閉ざされたドアの奥に隠された秘密…閨秀作家が描く看護婦探偵の事件簿!
著者等紹介
ラインハート,M.R.[ラインハート,M.R.] [Rinehart,M.R.]
1876‐1958。本名メアリー・ロバーツ・ラインハート。アメリカ、ペンシルベニア州ピッツバーグ生まれ。1896年に医師と結婚。1903年に株式市場不況の影響で生活が苦しくなり、家計を助けようと短編小説を書き始める。迫りくる恐怖を読者に予感させるサスペンスの技法には定評があり、“HIBK(もしも知ってさえいたら)”派の創始者とも称された。晩年まで創作意欲は衰えず、The Swimming Pool(52)はベストセラーとなり、短編集The Frightened Wife(53)でアメリカ探偵作家クラブ特別賞を受賞
金井真弓[カナイマユミ]
翻訳家、大学非常勤講師。千葉大学大学院人文社会科学研究科修士課程修了。大妻女子大学大学院人間文化研究科博士課程満期退学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆのん
69
主人公はもうすぐ30歳になる看護師のヒルダ・アダムス。警察のミスター・パットンと出会い看護師探偵となる。看護師としても優秀な彼女だが、探偵としてもかなりのもの。勇気、正義感、好奇心に溢れている。暗い中を僅かな明かりで捜査するシーンの描写がすばらしく、ゾクゾクとする恐怖感が伝わってくる。ずっと読みたかったシリーズだが、再版されてないのか、中古でも値段が高く、今回は2作品だけとはいえ念願叶っての読書となった。2112020/09/13
SIGERU
24
サスペンス派の名匠ラインハートによる、看護婦探偵ヒルダの冒険を扱った中篇二つ。不安を喚起する技巧は確かだが、現代の派手なサスペンスからは程遠く、のんびりした趣がある。悠揚迫らぬ筆致で、遊び心や骨董趣味のある読者向きの一冊。『鍵のかかったドア』は、作者自身看護師だったキャリアが生かされた佳品。屋敷を覆う不安の正体が、なるほど現代に通じるものがある。あとがきを読み、1959年刊行に驚きかけたが、よく読むと1933年には作品集に収録されていたのか。さらに調べたら、どうやら1914年初出らしい。いろいろ納得した。2021/06/19
maja
18
真摯なヒルダ・アダムスは派遣先で本領を発揮するナース探偵だ。警察の支持を受けてナースとして派遣にまわるアダムス。現在では考えられないような、ゆったりとした時間や謎の広がり方が魅力のクラシックミステリで楽しい。 2020/12/28
harutamano
17
うーん面白かった!好きな話でした!看護婦という立ち位置からヒルダが切り込んでいく謎…そしてパットン警視がツボ…✨ 「きみが気に食わない」「でもたいしたお嬢さんだと言わないわけにはいかないな」 って言うんですよのっけからー!脚を撃たれてベッドにいる警視が看護人に逆らって諭されて。そしてそこから始まる物語。 クラシカルなミステリですが、いったい何が起こっているのか…というハラハラ追い詰められる感じがたまりません…ほんでちょくちょく可愛いな警視!萌え転がりましたわ。ミスター・パットン!2020/05/16
Ribes triste
13
ミスター・パットンに見出され、警察の犯罪捜査のため、ターゲットの家庭に潜入する看護婦ヒルダ・アダムスの物語。事件かどうかも分からない不穏な状況下での捜査には、緊張感とホラー味が漂う。聡明で行動力もありタフなヒルダがいい。これは中編2作でしたが、長編も読んでみたい。2023/03/28