内容説明
ああ、イタリア。いつも私を疲れさせる…その想いはどこか、人間そのものへの愛憎に似ている。旅を重ねてふたたび出会った、カラヴァッジョやミケランジェロ、マリノ・マリーニ、モランディ、そしてプリーモ・レーヴィ…。今という時代と、人間の本質への深い省察に満ちた紀行エッセイ。
目次
ローマ
フェッラーラ
ボローニャ、ミラノ
トリノ
ミラノ
著者等紹介
徐京植[ソキョンシク]
1951年京都市に生まれる。早稲田大学第一文学部(フランス文学専攻)卒業。現在、東京経済大学全学共通教育センター教員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hasegawa noboru
4
ローマとカラヴアァッジョ、トリノに行き交った反ファッショ知識人ら、ミラノのミケランジェロ〈ロンダニーニのピエタ〉。〈ルネサンスからおよそ五世紀、第二次世界大戦の終戦からおよそ七五年、世界と人類は良くならなかった〉〈あらゆる場所で、あらゆるものが急速に浅薄になっていく。優れた人々、善き人々は去っていく。要するに、過ぎ去るのだ。〉〈極東に生を享けたディアスポラである私〉という筆者の過酷な生とは比較にならぬが、同世代的共感というのか、旅の思索のいちいちが(行ったこともなく、読んだことない作家でも)よく分かる。2020/05/23