著者等紹介
高木彬光[タカギアキミツ]
1920年9月25日、青森県生まれ。本名・誠一。別名に魔童子、鉄仮面、百谷泉一郎。京都帝国大学工学部冶金科卒業後、43年に中島飛行機へ入社。終戦によって職を失い、ブローカーをしながら糊口を凌いでいたが、占い師の勧めに応じて書いた長編探偵小説「刺青殺人事件」が江戸川乱歩の推薦で48年6月に出版され作家デビュー。第3回探偵作家クラブ賞・長編賞を受賞した「能面殺人事件」(49)などの傑作を次々と発表し人気作家となる。1995年9月9日に入院先の病院で死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
64
著者が作り出した探偵のうちの一人である大前田夫妻。本書はいわばその第一作で夫妻が結婚するきっかけとなった事件が取り扱われている。ただ内容的には今まで出版されていなかったのもむべなるかなという出来。探偵と黒魔王なる犯罪者の対決が主軸となっているが、この辺は中期の乱歩「人間豹」とかあの辺を思い出すのね。あと探偵の元に事件の手がかりの方からやってくるみたいな構成で、この辺は「刺青殺人事件」とかの名作との落差が酷い。昭和中期の本格推理暗黒期を感じさせるなあ。資料的価値という点では貴重な一冊だったと思う。2021/02/08
cinos
51
大前田英策物は初読みで、豪胆さに驚きました。何度プロポーズするのか笑。娘探し、殺人、宝石探しが絡み合ってめちゃくちゃ人が死にました。二階堂黎人さんが解説で書いていた軽ハードボイルドという言葉に納得しました。2020/10/20
engidaruma2006
8
このレビューでは、つまらなかった作品でも何か一つは良い事を書く気でいるのだが、この作品は全く良い点が無かった。高木氏の生誕百年記念の出版物という事だけど、単行本が絶版の後、全集に入らず文庫化にもなっていない作品なので、それなりの理由があるのが当然で、全然面白く無かった。氏が創作した探偵の中で最も地味な大前田英策が主人公の通俗探偵小説で、連続殺人犯の黒魔王の正体を暴くフーダニットにはなっているが、論理的な推理では無いし、所々に挟まれる活劇も中途半端。何とか褒めようとしている二階堂黎人さんを不憫に感じたよ。2020/10/19
terukravitz
4
図書館本★☆☆☆☆2021/03/01
烏骨鶏
1
昭和の香り高き探偵小説だ。 小栗虫太郎から乱歩・横溝ときて、世俗向け或いはテレビ向けに描かれるミステリーものの系譜について学ぶ機会になりました。 高木さんて、面白そうなひとだな。2021/01/17