内容説明
心の奥底に秘められた鈍色の憎悪と殺意。関係者を侵食する“心の闇”がチェビオット・バーマン警部補を翻弄する…。
著者等紹介
コッブ,ベルトン[コッブ,ベルトン] [Cobb,Belton]
本名ジェフリー・ベルトン・コッブ。1892年、英国ケント州生まれ。ロンドンのロングマン出版社の営業ディレクターとして働くかたわら、諷刺雑誌への寄稿で健筆をふるい、特にユーモア雑誌「パンチ」では常連寄稿家として軽快な作品を多数執筆した。長編ミステリのほか、警察関連のノンフィクションでも手腕を発揮している。1971年死去
菱山美穂[ヒシヤマミホ]
英米文学翻訳者。別名義による邦訳書もある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ネコベス
35
大晦日のホームパーティーの後招待客が死亡。バーマン警部補は入念な聞き取り調査の結果、被害者が飲み干したヒ素入りのグラスは一家の主人ルパートを狙ったものだと推定。バーマンはルパートを警護しながら身内の中にいる殺人犯を探す。前半はやや単調だが、終盤家族の秘められた過去が明かされて以降一気に盛り上がる。推理の根拠を記したページを指し示す手掛かり索引付きの親切設計。地味目ながら味のある秀作。2020/09/21
空猫
20
80年以上前の英国推理小説だった。富豪ボール家での大晦日パーティーの晩、客人が突然死亡した。毒によって。一家には不況で破産した妻の両親弟家族が居候していた。毒を盛った犯人は同じ屋根の下で暮らす身内の中に居ることになる…。事件はバーマン警部補の、ほぼ事情聴取で描かれ、時代はもちろん感じるが、いぶし銀的な魅力のあるミステリだった。2021/01/17
星落秋風五丈原
20
限られた場所での限られた容疑者なんだけど途中の時点でわざと疑いとかを彼等に言ってしまうんですね警部補。2020/08/01
Susumu Kobayashi
7
裕福なルパート・ボール一家に寄食する、妻メアリーの親戚たち。メアリーの父アーサー・ヴァーミンスターは骨董屋を経営していたが廃業し、メアリーの弟リチャード・ヴァーミンスターは失業して、未だに定職に就けない。ルパートはリチャードの娘イヴリンの友人ロバート・レッチワースを年越しパーティーに招待するが、ロバートが突然苦しみ始め、病院に運ばれて死亡する。原因は砒素による中毒。スコットランド・ヤードから派遣された若いバーマン警部は、犯人がルパートを殺すつもりが、誤ってロバートを殺したと推理する。意表を衝く結末だった。2021/07/15
nightowl
4
経済事情の苦しい妻の親戚を住まわせている一家。気まずい雰囲気の中執り行われた年末年始パーティー。そんな中、当主の姪に思いを寄せていた男が殺される。どうやら犯人のターゲットとは違っていたらしい。警察は起こるかもしれない第二の事件を防げるのか?クラシックミステリの中にどう現実味を入れられるか苦労の跡を感じる。堅実なパズラー。これまで出された二作とは雰囲気が異なっており、人物の癖の強さが目立つ。漸く地味さから一歩抜けた作品が刊行されたので、これを機に翻訳が続きますように。2020/09/19