内容説明
江戸川乱歩を見出した“日本探偵小説文壇の巨人”森下雨村の代表作「三十九号室の女」、70年ぶりに復刻。誰もが気軽に読める探偵小説の在り方として「軽い文学」を提唱し、超人的名探偵の登場や難解なトリックの使用を極力控えながら、事件の謎を解くため奮戦する人々の姿を克明に描き続けた森下雨村の探偵小説選第2弾!単行本初収録作品を中心に、大正12年から昭和11年にかけて発表した創作探偵小説を厳選集成。巻末には「森下雨村小説リスト」(湯浅篤志・編)を付す。
著者等紹介
森下雨村[モリシタウソン]
1890年高知県生まれ。本名・岩太郎。1911年早稲田大学英文科卒。やまと新聞社社会部記者を経て、18年に博文館の雑誌編集者となる。20年に創刊された『新青年』では編集主幹となり、江戸川乱歩や横溝正史などを世に送り出した。作家や翻訳者としても活躍し、別名義を使って少年少女向け探偵小説も多数執筆している。32年に作家専業となり、「一般大衆に喜ばれる軽い文学としての探偵小説」を目指した“軽い文学〔ライト・リテラチウア〕”を提唱する。41年頃に高知県佐川町へ戻り、戦後は故郷で過ごした。1965年5月、脳出血の後遺症のため死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
73
読者に考える時間を与えないせっかちなスタイルが斬新www。ほとんど作者自身の自己満足の世界ですが、今時こんな作品はないのでなんだか新鮮味があり、不思議に楽しめました。2023/05/26
散文の詞
3
超人的な推理やとんでもないトリックは全然出てきません。 作者が謎を提示して、作者が偶然にもその謎を解いて、の繰り返しで話が進んでいきます。 読者に考える暇を与えません。 そういう意味では、読みやすいかも。 ただ、登場人物が、まるで真相に導かれるようにほとんど間違えることもないく答えを導き出すのは、 少々、拍子抜けする感もあります。 でも、最後に・・・。 いくつかの謎には答えていないような気もしますが、 それは、作者にとっては、些末なことなのでしょう。 2019/01/25