内容説明
資産家の最期を看取った代診医の不可解な死。プリーストリーの鋭い推理が暴き出す真相とは…。筋金入りの本格ミステリファン必読。あなたは作者が仕掛ける巧妙なプロットを読み解けるか?
著者等紹介
ロード,ジョン[ロード,ジョン] [Rhode,John]
1884‐1964。本名セシル・ジョン・チャールズ・ストリート。別名義にマイルズ・バートン、セシル・ウェイ。元陸軍少佐。1924年、A.S.F.(1924)でミステリ作家としてデビュー。25年に発表したThe Paddington Mystery以降、ジョン・ロード名義でプリーストリー博士シリーズを多数発表し、ディテクション・クラブの主要メンバーとしても活躍した
渕上痩平[フチガミソウヘイ]
元外務省職員。海外ミステリ研究家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ27
43
学生時代に戻った気分で楽しいミステリー読書。英国が舞台といっても、特定の場所にしている訳でもないが、イングランド情趣たっぷり。事件のポイントは3つ~遺骸の身元・焼けた車の持ち主・患者の死因。ところが、読んでいくとダブルミーニング。叙述トリックの応用が古典的とはいえ、面白い。退屈な作家という向きもあるようだが、私は好み。全体が2重構造なので「気遣い実は・・」という会話が散見し、訳が苦労したとか。後書きにもあるが、人物描写の生煮えがややネック。婚約者がちっとも魅力的じゃないし、ドクターももっさりおっさんで。。2018/02/25
ネコベス
8
医師のソーンヒルは代診医として田舎町に赴任する。間もなく資産家のウィルスデン氏が亡くなり、往診に出かけたソーンヒルも行方不明に。その後、森から延焼した車と頭蓋骨に殴打の痕跡がある死体が見つかり、スコットランドヤードのワグホーン警視が捜査に乗り出す。50年以上前に書かれたものだが、思いのほか楽しめた。しかし例会での議論が冗長かつ単調で蛇足だと感じた。探偵役はワグホーン警視とプリーストリー博士に二人で十分だと思う。こういう作品は、あれこれ考えずに素直に著者の仕掛けに騙された方が楽しい。2017/10/01
Susumu Kobayashi
5
アラン・グッドウッド医師は年に一度の休暇を楽しむために、その期間、ロンドンから来た代診医ソーンヒルに自分の患者を任せることにした。ソーンヒルは夕方に駅に到着し、グッドウッドが車で迎えに来て、自宅で夕食を摂って、一晩過ごした。翌日、グッドウッドはソーンヒルに引き継ぎを終えると、妻を連れて休暇に出かけた。胃の悪い患者ウィルスデンに往診に行くと、急を要する容態だったので入院を勧めたが、彼は受け入れなかった。まもなく、ウィルスデンは急死し、往診に出かけたソーンヒルも行方不明となる。この大トリックには騙された。2021/07/09
ひろこ
4
途中の警察官たちの推理合戦で少し疲れたものの、最後はきれいに収まってスッキリという感じ。代診医がどの時点で亡くなっていたのかは予想できなかった。2019/09/28
milk
4
古い作品とは感じない読みやすさとテンポの良さがあり、ストーリーも明快でした。中盤から、なぜ縁もゆかりもない代診医が殺害されたのか動機を見つけようと思いながら読んでゆきましたが、ラストにたどり着き、すっかり騙されていたことに気づきました。それなのに満足感でいっぱいです。ジョン・ロード、気に入りました。他の作品も読んでみようと思います。2017/12/14