出版社内容情報
内容説明
連城三紀彦という特異な、そしてその特異性を見落とされてきた作家が遺していった作品群。第16回本格ミステリ大賞・評論・研究部門受賞作を大幅加筆した決定版!
目次
第1部 全作品レビュー(綺羅星のごとく―七八年~八四年;流行作家への道―八五年~八九年;虚実の境界線で―九〇年~九四年;陰り始める人気―九五年~〇〇年;晩年そして没後(〇一年~一六年)
単行本未収録作品を読む
アンソロジーで連城作品を読む
エッセイ・その他を読む
連城三紀彦論を読む
絶版・品切れの作品を入手するには)
第2部 作家論・作品論(ダブルミーニングの文学―再演の背景;どこまでも疑って―連城三紀彦論;『私という名の変奏曲』推理―犯人は誰か;『ため息の時間』読解―苑田岳葉と連城三紀彦;謎解きは終らない―『処刑までの十章』論)
著者等紹介
浅木原忍[アサギハラシノブ]
1985年、青森県生まれ。北海道大学文学部卒。2007年より同人小説サークル「Rhythm Five」として活動、2016年、同人誌として発行した『ミステリ読者のための連城三紀彦全作品ガイド・増補改訂版』で第16回本格ミステリ大賞評論・研究部門を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
116
つい最近読んだ谷沢永一さんの高橋亀吉についての本と同じような印象を受けました。連城三紀彦の全作品の内容紹介と解題がかなり詳しく書かれています。私は連城ファンですがこのような本が出ているとは知りませんでした。この本で再度全作品を読み直してみたい気になりました。2018/04/20
geshi
31
作家・連城三紀彦への愛があふれた評論集であり、この本が連城の死後に届かないラブレターとして書かれたこと自体が連城作品っぽい。散逸している評価が著しく低い連城作品を丹念に拾い上げ、恋愛小説に属するものでも「手に取ってほしい」と紹介し、一般受けしないものには厳しく評価する愛は本物。読者を裏切るために美文もキャラクターも設定も全てを使う徹底した”操り”に魅せられる物語の快感こそ連城作品の愉しみ。『ダブルミーニングの文学』における連城作品の「再演」モチーフが本質的にミステリと繋がっているという論評は白眉。2017/10/13
ハスゴン
23
情熱は感じられました。埋もれた作品数の多さに驚き‼️2017/03/26
ふう
12
タイトルから勝手にムック本みたいなイメージを抱いていたら普通の単行本でびっくり(初っ端から見事に騙された気分w)。「連城三紀彦」ってもはや一つのジャンルかもなんて思いながら読了したが、とにかくどのページも作者の連城三紀彦愛の熱量が半端無く、読み応えたっぷりでタメ(参考)になること請け合い。「皆川博子系の幻想小説が好きな人は特に必読」とか「ミステリ読者が無理に読むことはない」など、わかりやすくオススメしてくれるのも○。2017/05/04
まさむね
9
同人誌にして初めて「本格ミステリ大賞」を受賞(評論・研究部門)した作品が商業出版化したもの。あの後の出版物も網羅されている。改めて、連城三紀彦という作家の素晴らしさを実感する。私も、あまり長くない、残りの書店員人生において、少しでも連城作品の再評価に繋がるような活動をしたいと思っている。なんか復刊したいなあ。2017/04/30