内容説明
十九世紀後半における英国唯美主義を支えた日本趣味の実態はどのようなものだったのか。ロセッティ、スウィンバーン、ペイター、ワイルド、ホイッスラーらの藝術について、さらに英国唯美主義の素地としてのギリシアのエピクーロス的世界、西脇順三郎を初めとする日本の詩人達とワイルド受容、ロセッティやペイターの系譜に連なる唯美主義者としてのハーンなど、両国の藝術の関わりを悠遠な視座から読み解く比較藝術論。図版多数。
目次
第1章 英国唯美主義と日本の影
第2章 英国唯美主義の濫觴
第3章 ギリシア・エピクーロス的世界と日本―英国唯美主義の素地
第4章 日本の詩人達とワイルド受容
第5章 ワイルドと西脇順三郎―肉声の恢復者達
第6章 ラフカディオ・ハーン―ロセッティ、ペイターとの類縁
著者等紹介
伊藤勳[イトウイサオ]
昭和24年岐阜県生まれ。愛知大学大学院文学研究科・経済学部教授。日本文藝家協会・日本現代詩人会各会員。詩誌『未開』同人。日本ペイター協会前会長・理事。平成17年~18年、ケンブリッヂ大学英語学部及びダーウィン・コリッヂ客員研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おがわ
1
唯美主義、芸術の自己目的化、手段と目的の一致=自然であること、キリスト教的目的論的世界観との乖離、異教性、/ ペイター、『ルネサンス』藝術=事実感の表現。表現自体がすなわち芸術の精神となる。自然の一部としての人間、日本的自然観(日本、ギリシア的と19世紀みなされていた、小泉八雲は「生活と思考の並行性」を指摘)。 藝術のための藝術=人間の精神を涵養するものとして強調『プラトンとプラトン哲学』。←しかしながらプラトンにおいて藝術が徳性に従属するのに対してペイターは生活の藝術化に重点。 2023/01/25
おがわ
1
スウィンバーン、詩人、ギリシャ学者、異教耽美。「藝術のための藝術」『ウィリアム・ブレイク』、道徳からの詩の解放。 ペイター、ワイルド、無用の美の称揚、自然の単純性、無目的性→反キリスト、異教的、東洋的・ギリシア的思想。2023/01/21