感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
飛鳥栄司@がんサバイバー
23
出だしの人物紹介部分がちょっと冗長だなぁと思っていたら、意外とあとでボディブローのように効いてきた。人物消失のトリックは時代を感じさせるもので、目新しさは皆無。探偵役がなかなかのクセ者で、キャラクタが確立されているためかストーリーの展開がスムーズで読みやすい作品である。登場人物はそれほど多くもなく、それぞれ特徴があるのでメリハリがついていて良い。犯人ではないかと思っていた人物が途中殺されてしまい、ミスディレクションの上手さにまんま騙されてしまった。こういう所は前作でも発揮したベロウの特徴だろう。2016/11/04
やっす
17
小振りだけど、スッキリまとまったクラシックミステリの好編。人間消失という飛び切りの謎に対する真相自体は、これしかないだろうという様なものでさほど感心しなかったけど、愛すべきお茶目な爺さんにして探偵役のベルモア氏を始め、相棒のタイソン警部ら脇役陣に至るまで登場人物のキャラが立っているのが良い。序盤は少々退屈だが、消失事件以降はテンポ良く次々と事件が起こるので飽きる事がないし、伏線もしっかり張ってあるなど結構手堅い仕上がり。総じて期待した通りの面白さ。これで翻訳が途絶えていい作家でない事は絶対に確かですね。2017/03/11
カーゾン
7
M:消失トリックがメインだが、処理はこうなるよな、とそれほどの驚きはなかった。犯人も予想の範疇だったし。複数の殺人が起こり、探偵役も良いキャラしており、読みやすかったが、解明部分はあっさりでこの点は物足りなかった。怪奇テイストはあってもなくても良いので、そこは触れないとしても、現時点で邦訳のある3作品の評価は「魔王の足跡」>>今作>「十一番目の災い」かな。でも十分佳作です。2023/08/05
N.蘭子
4
探偵のキャラがなかなかいい。人間消失の魅力的な謎を発端に、次から次へとおこる事件でテンポよく進む。決してトリッキーではないけど、良く練られた古典ミステリの佳作です。2017/01/05
tokyo-zodiac
4
ウィロビーが散歩から帰ってきた別荘の隣人ボランド氏に、クレシックという男が訪ねて来てると告げた途端、ボランドの顔色が変わったのをウィロビーの客である老俳優のベルモアは見逃さなかった。その直後、隣からボランドの名を叫びながら走り出すクレシックの姿を見た彼らは、霧の中を見失わないようその後を追いかける。崖っぷちで追いついたものの、クレシックはボランドがここから飛び降りてしまったと訴える。しかし崖下にはボランドの死体どころか姿形もなく、釣り人達は誰も落ちて来なかったと口を揃える。そして更に意外な事実が…2016/10/09