内容説明
52歳独身、山高帽に黒いフロックコート。鼻眼鏡に雨傘姿の名探偵が難事件に挑む!ファン待望の傑作短編集!!
著者等紹介
ウォーレス,エドガー[ウォーレス,エドガー] [Wallace,Edgar]
1875‐1932。本名リチャード・ホレイショ・エドガー・ウォーレス。英国、ロンドンのグリニッジで俳優の両親の間に私生児として生まれる。印刷所、靴屋、牛乳配達など様々な職を経て、第二次ボーア戦争では、ロイターの南アフリカ通信員を務める。その後、ロンドンに戻り『デイリー・メール』紙や数々の新聞社で編集、執筆に携わる。きわめて多作な作家で、1920年代、当時イギリスで読まれる書物の4分の1はウォーレスの作品だといわれた。晩年はアメリカへ移住し、ハリウッドで映画の脚本を手掛ける
板垣節子[イタガキセツコ]
北海道札幌市生まれ。インターカレッジ札幌にて翻訳を学ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
22
この表紙、とてもわかりやすいですね。山高帽に黒いフロックコート。鼻眼鏡はさすがに見えないけれど、雨傘姿で立っている男性が、タイトルロールのJ・G・リーダー氏です。で、彼の探偵としてのウリは何になるかと言うと、本人が言ってます。「私は 犯罪者の心が読めるんです」をを、エスパーか!いえ、違います。だったら面白くないでしょう。開設ではMind Readerと評されている現代で言うところのプロファイリング能力は、あくまで彼の経験から培われたものです。そんな彼の唯一の泣き所は恋心。2017/01/24
くさてる
20
内気でどこかもの悲しげで礼儀正しい口調で話す初老の気弱な探偵を主人公にした連作短編集。ミステリとしてどうこう以前に主人公のリーダー氏がなんともかわいく面白く、キャラの魅力で読み終えました。これから読もうという方は、本編を読み終わるまで解説はぜったいに読まない方がいいです。その方が幸せな気分になるから。2020/09/26
やんも
10
J・C・リーダー、身なりは時代遅れで卑屈な態度の初老の探偵。見た目は震えるチワワのようだが、一度でも彼にシッポをつかまれた悪党は、その影が差すだけで逃げてゆく。抜群の記憶力、深い洞察力、裏社会に通じていると思わせる情報収集力、そして意外な行動力がリーダーの武器。本書に収録された8つの事件でも、その力を発揮して、隠された犯罪を暴き出し、自分の身を狙う敵を叩きのめし、ほのかに想いを抱く女性のためには獅子奮迅の活躍を見せてくれる。ちなみに趣味は演劇鑑賞、実はかなりのロマンチストなのだ。2016/12/05
SIGERU
9
「J・G・リーダー氏の心」(1925年)読了。とにかく巧い。洒落ていえば「リーダブル」な短篇集だ。エドガー・ウォーレスといえば、多作を通り越して濫作な流行作家というイメージがあったが、既読の長篇「正義の四人」も含め、さすが人気作家の力量充分と再認識した。私はヴァン・ダインのファンで、彼の「推理小説論」に傑作として列挙された作品は全て読破したいほどだが、ウォーレスのこの短篇集はヴァン・ダインのリストにおいても評価が高く、垂涎待望の書だった。2016/11/15
ひなにゃんこ
8
★3.5 ズレ落ちた鼻眼鏡に頬髭、山高帽にフロックコート、常に雨傘を持ち歩く50代の冴えない独身男、J•G•リーダー氏。通貨偽造犯罪を主に手掛けてきた探偵が、控訴局長官の事務所で勤務することになり、様々な犯罪と対峙する。当初の貧相な印象はどんどん塗り替えられ、相当の切れ者だと驚くことに。“全てに悪を見てしまう質”“犯罪者の心を持っている”から犯罪が見抜けると自称する。だからこそ、狡猾な犯罪者の裏をかいたり、罠に嵌めてボロを出させるようなこともできる。これはなかなか面白い名探偵に出会えた。 →2016/11/29