内容説明
劇作家の死を巡る灯火管制の秘密とは…H・R・F・キーティング編「海外ミステリ名作100選」採択作品!殺意と友情の殺人組曲が静かに奏でられる、大戦下の一夜に消えた命の灯火。
著者等紹介
フェラーズ,エリザベス[フェラーズ,エリザベス] [Ferrars,Elizabeth]
1907‐1995。本名モーナ・ドリス・マクタガート。別名義にE.X.フェラーズ。ミャンマー、ヤンゴン生まれ。6歳の頃、英国へ移住し、ロンドン大学でジャーナリズムを専攻。1930年代にモータ・マクタガート名義の普通小説で作家デビューし、ミステリ作家としては、40年発表の“トビー・ダイク”シリーズの第一作目「その死者の名は」(40)が処女作となる。英国推理作家協会(CWA)の創設メンバーとしてミステリの普及に尽力し、1977年にはCWA会長を務めた
清水裕子[シミズヒロコ]
1967年、北海道生まれ。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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NAO
58
第二次世界大戦中、灯火管制が敷かれているロンドンが舞台のミステリ。アリスは3人の女性とまだそれほど深い繋がりはなく、全体を俯瞰的に見る役割を担っており、犯人逮捕に違和感を抱いて後日一人で会の参加者たちを訪ね、話を聞いていく。全く異なる性格の3人の、一人の男性を巡ってのトラブル。女性とは、なんと身勝手であることか。そして、なんと独りよがりであることか。2023/12/27
cinos
13
自白と証拠と目撃証言で有罪になった女性について友人たちの話を聞いていくうちに…。次々と新たな証言と推理が出てくるのが面白いです。2016/11/23
やっす
6
これまで読んだフェラーズのノンシリーズ長編の中では最も読み応えがあった様に思う。灯火管制下での殺人事件を通して、戦時中という雰囲気も結構出ていました。今作は登場する女性達の印象が強すぎて、男性達の存在が霞んでしまっていた様な気がします。w 犯人については予想がつきやすく、そういった意味での楽しみは薄いかなとは思うけど、最後に明かされた真相には単純だけど盲点をつかれましたね。このところノンシリーズ物ばかり訳されるフェラーズですが、出来れば後期のシリーズ長編なども訳してほしいなと思います。2016/06/16
koo
5
フェラーズ中期ノンシリーズもの。先に読んだカクテルパーティーと構成は似ていて冒頭で殺人が起こり事件に不審を持った登場人物の1人アリスが事件関係者を巡回するスタイルですがカクテルパーティーとの違いは初めから容疑者と殺害手口が明らかな点でそれには終盤まで触れずにひたすら人間関係の聴き取りに費やされるのがひたすら退屈でしたね、事件関係者の発言にもイライラさせられました。作品の肝は戦時下ならではのトリックの炸裂なのですがこの為に延々と聴き取りを読まされたと思うとページ配分が悪すぎと感じます。勿体ない作品です。2022/08/04
nightowl
3
妻の死に落ち込む劇作家のためにリーダー気取りの女性、セシリーが彼の住むフラットの階下でパーティーを開く。しかし当人は現れず殺害されていた。パニックに陥った大人しいジャネットは「わたしがやったのよ!」と叫び逮捕される。彼女が殺人を犯したと思えないアリスはパーティー参加者達に話を聞くが…赤鰊もあり工夫されているものの、やはり初期作に比べればパズラーとしてはちょっと弱い。良くなった所といえばしっちゃかめっちゃかな部分が減った点。それより何より、女性の長々とした喋りによるキャラの立ちっぷりにとにかく圧倒された。2016/06/09