内容説明
エジプト文明をモチーフにキングが仕掛ける本格推理“ABC三部作”第2弾遂に完訳!洪水で孤立した村、館で起きる密室殺人事件、容疑者全員には完璧なアリバイがあった。
著者等紹介
キング,C.デイリー[キング,C.デイリー] [King,C.Daly]
1895‐1963。アメリカ、ニューヨーク州生まれ。心理学の研究に従事しコロンビア大学で修士号、イエール大学で博士号を取得。1932年、長編「海のオベリスト」で作家デビュー。“手がかり索引”の趣向を初めて導入した作家としてミステリ史に名を残す
福森典子[フクモリノリコ]
大阪生まれ。通算10年の海外生活を経て国際基督教大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スパシーバ@日日是決戦
97
C (2016年)<1938年> 古代エジプトの数々の遺品の他、ミイラの入った棺まで納められていたエジプト学者でありながらアメリカで最も成功した前所有主の邸内で、女主人が博物館から消失した古代エジプトの短剣で殺害され、今度はエジプト学者のひとりが対の短剣で殺害される。どちらの事件も容疑者全員に鉄壁のアリバイが成立してしまい、難攻不落と思えたが..。魅力的な謎にワクワクするも、その設定が活かされていない。トリックを見破った人は世界中どこを探してもおそらく存在しないと思われるので、何ら落ち込むことないさ。2016/11/10
cinos
24
洪水で孤立した村の館で起こる殺人。容疑者全員に完璧なアリバイがあった、というすごく面白そうなのですが。エジプト文化のペダントリーが難しく、アリバイも密室も今ひとつよくわかりませんでした。2019/07/31
飛鳥栄司@がんサバイバー
10
アリバイ崩しを中心に密室もあって、なかなかボリューミーな仕上がり。前作のような超絶技巧なトリックではなかったが、本作のトリックも斜め上をいく。途中、ある機械の説明を熱っぽく書いているので、なんとなくあたりはつくものの、流石にトリックの真相にたどり着くのは困難。謎解きシーンでどんでん返しを狙っているのか、少し読者が戸惑いそうになる部分は余計に感じてしまった。決定的な証拠がロード(読者)の手元にない状況にせず、集めた情報を整理しておけばストレートに犯人を追い詰める事が可能だったはず。残り1作も期待は大きい。2016/08/29
やっす
10
オベリスト三部作とABCシリーズの『いい加減な遺骸』、そして本作と一通り読んできましたが、今回の『厚かましいアリバイ』がもっとも出来がいいように思います。現代から見ればアリバイ工作の根幹を成すあるもののシステムが今一つ理解しにくく、読者が真相を推理するのは無理じゃないかと思えるのが難点ですが、密室、アリバイ、見取り図等々、本格ファンの琴線をくすぐる道具立てと、残りページわずかになって一気に畳み掛けてくる解決編は本格ミステリの愉しさを充分に味あわせてくれました。シリーズもあと一作。最後まで付き合いますよ。2016/06/12
nightowl
7
古代エジプトの短剣で刺殺された女主人。関係者各々にはアリバイがあった。犯人はいったい誰なのか?第二の事件が起きてからスピードのある展開が非常に面白い。全員集合の解決場面でも楽しませてくれる。「空のオベリスト」読了時次は短編を読もうかどうか迷ったものの、出だしに力の入り方が感じられてつい手に取ってしまった。トリックはちょっと懐かしいあのタイプのものだったり、犯人を追い詰める最後の決定打がそれ?という気持ちはこの際しまっておく。2016/06/13