内容説明
一字の間違いが大きな違いとなる誤植の悲喜劇、活字に日夜翻弄される校正者の苦心と失敗。吉村昭、杉本苑子、和田芳恵、上林暁らが奥深い言葉の世界に潜む“文学”の舞台裏を活写する。
目次
小説篇(行間さん(河内仙介)
祝煙(和田芳恵)
遺児(上林暁)
祝辞(佐多稲子)
赤魔(倉阪鬼一郎)
青いインク(小池昌代)
「芙蓉社」の自宅校正者(川崎彰彦)
爐邊の校正(田中隆尚))
エッセイ篇(わが若き日は恥多し(木下夕爾)
で十条(吉村昭)
校正恐るべし(杉本苑子)
アララギ校正の夜(杉浦明平)
校正(落合重信)
植字校正老若問答(宮崎修二朗)
助詞一字の誤植 横光利一のために(大屋幸世)
正誤表の話(河野與一))
著者等紹介
高橋輝次[タカハシテルツグ]
編集者、エッセイスト、アンソロジスト。昭和21年、三重県生まれ。神戸で育つ。大阪外国語大学英語科卒。昭和44年に創元社へ入社するが、病気のため、平成2年に退社。その後はフリーの編集者となり、古書についての編書を多数刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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けえこ
3
倉阪鬼一郎「赤魔」がよみやすかった。2017/12/06
いすみ
1
図書館本。 校正者の苦悩というか性が伺えた。個人的には「芙蓉荘の自宅校正者」の主人公がいきいきしていて好き。 (校正さんなら、芙蓉荘を二重括弧でくくるように訂正するかな?)2018/04/09
にんにん
1
小川洋子「ミーナの~」の誤植探しに熱中する叔母は、一種、偏執な趣味として登場していたが、この本はそれを正業とする校正者の日常を描いた短篇集。昭和の匂いのする文章ではあるが、校正を生業とする人の悲哀みたいなものが感じられる。過去には文学を志す人々が選ぶ職業の一つだったことも分かる。鏡花の「校正恐るべし」という言葉は当時、有名だったらしくエピソードや警句として出てくる。現代ではまた事情は違ってきてはいるだろうが、結構PCは勝手な変換をし筆者は気づかないということも多い。新旧作家のアンソロジーというのが楽しい。2016/05/16
あんづ
1
ほぼ全篇が、何でも無い日常生活を切り取っているだけなのに、「校正者」が登場するだけで面白いと思ってしまいました、なんでかな。異なる時代の作家達のアンソロジーだし、文体が色々。そのバラエティーに富んだ文章も楽しかった。 因みに、嫁✕(婿○)の誤字は、「編者がわざとイタズラしたの?それとも底本がそうなっているの?」と考えちゃったりしました。2016/02/11
ayawe
1
校正恐るべし(いろんな意味で)それぞれの短編の主人公は校正者ですが、内容は校正に限らず、本に携わる人たちの日々のお話。いろいろな種類の話があるので最後まで飽きずに読めました。2016/02/10
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