内容説明
始まりは嘘と誤解だった…若い男女と、中年の男と、トランスジェンダーの女性の四人がぶつかり、笑い、別れ、慰め、歌い、闘う恋の物語。
著者等紹介
鴻上尚史[コウカミショウジ]
1958年愛媛県生まれ。早稲田大学法学部卒業。在学中に劇団「第三舞台」を結成、以降、作・演出を手がける。1987年「朝日のような夕日をつれて’87」で紀伊國屋演劇賞、1992年「天使は瞳を閉じて」でゴールデン・アロー賞、1994年「スナフキンの手紙」で第39回岸田國士戯曲賞、2009年「虚構の劇団」旗揚げ三部作「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞を受賞する。2001年、劇団「第三舞台」は2011年に第三舞台封印解除&解散公演「深呼吸する惑星」を上演(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やも
81
マッチングアプリで出会ったのは、替え玉だった!この設定でもうすでに面白そうじゃん。出てくるのは諏訪(トラウマ恋愛の過去を持つ男)沖村(顔面ヒキガエル)遥香(アイドルを目指す元デリヘル嬢)汀(体は男で心は女)と個性的。トランスジェンダーとか愛とか幸せとか夢とか。人は安定よりも、より満たしてくれそうな幸せを求めてしまう生き物なのかな?重いテーマなのに読み心地は重すぎなくていい。このテーマを真面目に重く書かれたら楽しめなかったかもな〜。予想つかない展開の連続と読みやすさでなかなか面白くイッキ読み。★42022/09/15
やまねっと
18
トランスジェンダーを扱った作品だが、さすが鴻上さん、とても面白かった。 自分にトランスジェンダーの恋人が出来たらという想像をしながら読んだ。恋人が風俗で働いていたらどんな反応するだろうか?とかも考えた。でも、答えは出せなかった。物語ではくっついたり離れたりしていたが、これは物語上仕方ないけど、実際はこんなに、劇的ではないと思う。 年齢も近い沖村に感情移入するかと思ったが、それほどではなかった。LGBTQの問題は最近では受け入れられているが、まだ僕には偏見がある。女しか愛せないから。 嗚呼、僕も恋愛したい。2024/11/27
nightowl
4
"「世の中にはどうしようもないことがある」ということを、戦争やテロでなく、恋愛で知ることができるのなら、少しはましなのではないかと思うのです(あとがきにかえて)"―ということで、恋愛の行き違いを書いた戯曲。中年男の対人関係がうまく築けない(デリカシーがない)のに恋人を求めたがりな部分がとてもリアル。他では真剣さとギャグの匙加減が難しそうな作品。方向性を間違えるとどっちつかずになりかねない印象。中村中が上演時キャストとのことで、かなり自分を追い込んだに違いない。2020/05/23
ごる
3
あの、クソ忙しい4月の頭の時期に初日を見に行って、ガツンとやられた舞台。その日のうちに本当はテキストを読みたかった。そのくらい心にザクッと刺さった演劇だった。諏訪のコウモリっぷりや、沖村のイタさ(片桐さんがやると爽やかなイタさだったけれども)だったり、「ゆっくり捨てる」ことだったり…どうすりゃまとまるかわからないくらいにズシンときた。うーん、もう一回見たかったな。2015/06/07
へい
2
舞台を拝見して、素晴らしかったので終演後に勢いで買って読みましたが、やはりどういう形態を取っても素晴らしいものはすばらしいということがよく分かった。そしてあとがき読んでやはり鴻上さんは多様性を非常に大切に思うからこそこういう作品が描けたんだと分かった時喜びの声があげそうになった。多くの人にこの作品に触れてほしいなと思った。劇中でセリフにもあったように喜劇か悲劇か分からない展開でしたが全力で恋愛して傷ついていく姿は滑稽でありながらもなんだか尊いなと思いこの作品は人間賛歌でもあるんだなと思った。2017/07/28
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