内容説明
「大菩薩峠(都新聞版」全九巻完結。「大菩薩峠(第六篇)」第146回から第290回までの連載を完全収録。
著者等紹介
中里介山[ナカザトカイザン]
明治18(1885)年、神奈川県西多摩郡羽村(現、東京都羽村市)生まれ。13歳で上京し、電話交換手、小学校教員となり、平民社周辺の社会主義運動に参加。その後、社会主義を離れ、明治39年に都新聞社(現在の東京新聞社)に入社する。明治42年に初の新聞連載小説を執筆し、未完の大作となる「大菩薩峠」は大正2(1913)年より連載を開始。都新聞での連載終了後は、東京郊外に居を構えて、大阪毎日新聞(東京日日新聞)、国民新聞、読売新聞、介山が出版する雑誌『隣人之友』などに書き継いだが、昭和19(1944)年に腸チフスにより逝去
井川洗〓[イカワセンガイ]
明治9(1876)年、岐阜県生まれ。日本画の富岡永洗に師事し、明治39年からは都新聞社に入社して、新聞連載小説の挿絵を描いた。時代物を得意とし、その後『講談倶楽部』の表紙や口絵によって注目されると、『キング』、『冨士』、『少女画報』などでも筆を揮い、挿絵専業画家の先駆者となった。昭和36(1961)年に死去。享年85歳
伊東祐吏[イトウユウジ]
1974年、東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業。名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きょちょ
17
大菩薩峠久々の★5であります。いよいよ、作者の言う「大乗小説」になってきた。龍之助を慕うお銀様はリストカットみたいなことやりだすし、龍之助を仇と狙う今まで純粋な青年と描かれていた兵馬は、吉原通いをしだす。しかも兵馬を慕うお松やお君から金を借りてまで。お前いいかげんにせんかい!お松の気持ちもわかったれよ!いやいや兵馬、君は実に人間らしいよ!読者の大多数は兵馬に対し苦笑いか冷笑だろう。最後の、甲府のお徳と龍之助の再会は感慨深い。これで都新聞連載は全てですが、まだ全体の半分くらいです。続きは文庫で!★★★★★2016/04/02
みつ
16
「都新聞版」はこの巻で完結。とはいえ解題によると、この後全国紙の大阪毎日新聞(東京日日新聞)で書き継がれ、「本当の快進撃は、新たにここから始まる」とのこと。大幅に短縮された筑摩文庫版ではこのあたりが折り返し点で、そちらで全巻読んだ印象ではここからいよいよ迷宮化は深まる。もっとも、この巻で久々に登場した龍之介の子郁太郎は乳児のままであるから、幕末の政治状況を織り込みつつも既に時間の流れは停滞している。作者の死により最終的に未完に終わった本作であるが、都新聞版の連載終了で、作者が完結と考えているのは驚き。➡️2023/04/30
訪問者
5
物語は取り留めもなく終わり、これを読んでいた都新聞の読者も途方に暮れたのではないか。最も、その後、大阪毎日新聞に続きが連載されてゆくのだが。2016/12/21
あきひと
4
都新聞版読了。物語は発散したきりだけど、舞台となっている江戸から府中、分倍河原、高尾の様子がぼんやりとは浮かび、それはそれで面白かった。兵馬のふらふらした様子や米友、与八などの今後が気になるが、このへんで追っかけはやめとこう。2023/06/28