内容説明
チェーザレ・ボルジアとマキアヴェッリが成立に関与した「代表作」は、ナポレオン、ムッソリーニの計謀で彷徨いはじめ、戦後は行方不明となる…。世界美術史上「最大の謎」に迫るドキュメント!
目次
序章 壁画か板絵か?―ローマから世界に発信された暗号
第1章 「アンギアーリの戦い」と『君主論』―ダ・ヴィンチとマキアヴェッリ
第2章 壁画と板絵―壁画制作中断の背景
第3章 アンギアーリの戦い―一枚の板絵に仕掛けたダ・ヴィンチの予言
第4章 「タヴォラ・ドーリア」―画面に仕掛けたレオナルド・ダ・ヴィンチのトリック
第5章 「タヴォラ・ドーリア」の戦い1―フィレンツェの捕囚時代~ドーリア家の家宝時代
第6章 「タヴォラ・ドーリア」の戦い2―スイス、ドイツ、アメリカとドイツ亡命時代
著者等紹介
秋山敏郎[アキヤマトシロウ]
1958年、門司市生まれ。福岡県立門司高校を経て1978年、上智大学文学部哲学科に入学し、K.リーゼンフーバー博士(哲学)、篠田雄次郎博士(美術史)に師事。卒業後1983年、旭通信社(現ADK)入社、国際本部勤務後1989年、退社。西ドイツへ語学留学後、同年9月、ケルン大学経済学部に正規入学、東ドイツのマーケッティングを学ぶもベルリンの壁崩壊で1990年、ミュンヘン大学美術史学科へ編入。この間、ミュンヘンで会社(敏インターナショナル、現トシ・インターナショナル)設立(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
27
「ダヴィンチの名作は本当は誰もが知るモナリザではなく幻の壁画と言われたタヴォラ・ドーリアである」と説く。筆者はこの壁画の日本購入に関わっており、手前味噌的な所も。絵よりもマキャベリ君主論のこんな文言にぞっとする。「外国援軍というこの種の軍隊は、それ自身は有効でよいのだが、きまってこれを招いた側に災いを与える。なぜなら援軍が負けるとあなたは滅びるわけであり、勝てば勝で、あなたは彼らの虜になるからである。」マキャベリの先見性は凄い。今の時代にばっちり当てはまるではないですか2015/10/06
コニコ@共楽
6
絵画は、時としてその絵に描かれたものだけでなく、描かれていないものも同様に物語ることを本書は明らかにしている。1502年前後に描かれたというタヴォラ・ドーリアには、ダ・ヴィンチ、マキャベリ、チェーザレの三人の秘められた想いが込められているようだ。この表紙の戦いの絵を見て、「戦争画」でもなく「反戦争画」でもない、メメント・モリを感じる。著者の「この絵が“人間性を失う凶暴性”を表現することで、戦争への抑止力になったのでは」という考えに強く共感する。一枚の絵は、実にドラマチックな運命を辿ったのだと知った。2014/02/10
Yuko
3
昨年から読み始めてようやく読了。美術や美術史が好きで専攻でないのに授業をとっていたにも関わらず読み進めるのに時間がかかった。チェーザレ・ボルジアとマキアヴェッリが成立に関与した《タヴォラ・ドーリア》はモナ・リザを超えるダ・ヴィンチの真作なのか?ナポレオン、ムッソリーニの計謀で戦後は行方不明となっていたこの作品は、政治家の思惑や美術史家たちの功績への打算と執着に翻弄されて500年間彷徨い続けた。その美術史最大にして最後の謎に迫る。様々な資料を掘り起こしてここまでのものを書き上げた著者渾身の一冊でした。2014/01/08
takao
2
☆500年もの間、秘匿されたダ・ヴィンチの代表作が日本人の手に入り、イタリアへ寄贈された。2018/02/18
キミ兄
2
ダヴィンチ作であることが判明した名画タヴォラドーリア。実はぬるま湯のイタリア都市国家に鉄槌を加えることを目論む、若き官僚マキァベリが企んだクーデター作戦の一貫だった。でもなぜこの名画が日本にあったのかについては作者は突如言葉を濁している。自分が関わったから?☆☆☆。2014/01/26




