内容説明
主人公は若手落語家の銀月亭ピョン太。古典落語への愛は人一倍だが、仕事がなくて超貧乏、売れない焦りと仲間への嫉妬に暮れる毎日。「畜生っ!なんであいつが人気あるんだ…」。ピョン太はホンモノの落語家になれるのか!?現役落語家だけが書けるエンタテインメント芸道小説。一〇〇本以上の新作落語を作った稀代のストーリーテラーによる初めての長編。
著者等紹介
三遊亭白鳥[サンユウテイハクチョウ]
1963年、新潟県上越市生まれ。日本大学芸術学部卒業。高校時代はラグビー部、大学時代は空手部と童話絵本研究会に所属、落語と関係ない学生生活を送る。1986年、三遊亭円丈に入門。2001年、真打に昇進。新作落語を自ら作り、その数は百本以上になる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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むぎじる
27
二つ目の落語家、銀月亭ピョン太。自分の落語に過剰な自信を持っているが、芸は今一つで独りよがり。そんなピョン太を見かねて、常連の居酒屋赤達磨の店主が進めた修行先は、「北椎名町憩いの家」。そこで出会った人生の師匠たちのアドバイスで、ピョン太の心に変化が現れる。お笑いの原点がここにある、と感じた。お客さんのために芸を見せる。笑わせてやろうと肩ひじ張らず、笑ってもらおうと媚びすぎず、自分の芸を見せようという気持ち。それが見る側に伝われば、自然に笑いは生まれると思った。落語界の裏話も覗ける、さわやかな成長物語。2013/02/07
まあさん
9
三遊亭白鳥師匠の長編小説です。 2011年の初版ですから、かれこれ10年くらい前の作品なんですね、、 主人公は、白鳥師匠とは真逆(?)で古典落語を愛する二つ目さん…ところが古典落語への愛は空回り、足掻けば足掻くほど裏目に出て仕事は減る一方…。この窮地を救うのは意外にも…。 小説を読み進めると、白鳥師匠の新作落語を聴いているような心持ちでになります。 奇想天外な展開はご愛嬌…物語の締めくくりはなるほど…ということで…。 白鳥師匠の世界に浸れます…寄席に行きたくなるなあ。2021/06/22
わくわく
9
三遊亭白鳥さんを落語好きの知り合いから聞き、本を出していることを知ったので購入してみました。これは面白かったです!登場人物も個性的で、どんどん引き込まれます。ピョン太がいろいろやってくれるので、次は?次は?と気になって結局一気読みでした。ぜひ続きを出してほしいですね。今度は三遊亭白鳥さんの落語をききに行ってみたいと思いました。2013/08/06
やまほら
8
おもしろい。 主人公ピョン太やあひる、花太郎、小三郎達の落語が聴きたくなる。彼らは皆二ツ目で、現実の二ツ目も「座布団祭り」ほどではないにせよ、それぞれ戦っているのだろう。だから二ツ目が何人か出る落語会はおもしろいのだ。 不粋だが、登場人物のモデルを想像するのも楽しい。あひるはおそらく白鳥+文左衛門。ピョン太はあの人だろうか。あの人は、ピョン太のような気持ちになっているだろうか…。2011/12/15
moko_antonio
7
自己満足の落語が周りに認められないのを人のせいにする。そんなアマちゃんなピョン太にヤキモキしどうしの前半。後半は奇想天外なことに巻き込まれるピョン太にドキドキハラハラ。落語って高いところで座布団に座り、喋っていればいいというわけじゃないんですね。客を自分の世界に引き込むのが商売。本と同じなんですね。ストーリー展開が奇想天外なのは白鳥さんの新作落語と同じで、ビックリ箱のような一冊。ピョン太が真打ちになる作品もいつか読みたい。