内容説明
80年代、池袋で“リブロ”という文化が出現し「新しい知のパラダイム」を求めて多くの読書人が集った。「今泉棚」はその中心にあって、今日では伝説となっている。伝説の「今泉棚」、誕生から消滅までを語る。
目次
前口上
本との出会い
今泉版「影絵の時代」
様々なアンソロジーとの出会い
予備校時代
埴谷雄高のこと
長編小説を読む
『現代人の思想』
大学時代
スタイナー『脱領域の知性』〔ほか〕
著者等紹介
今泉正光[イマイズミマサミツ]
1946年、宇都宮生まれ。1970年、キディランド入社。77年、西友「前橋西武店」に移り、83年、西武池袋店(後のリブロ)へ。97年、リブロ本部退職後、煥乎堂、平安堂を経て、2007年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kochi
18
かつて、硬い文系の本を大量に売り、『構造と力』などのベストセラー化にあずかって力のあった本屋が池袋にあった。その名をリブロ池袋店という。本書はそのリブロの中心人物の一人、今泉正光へのインタビューを基にし、今泉棚という名を残した「伝説的人物」の目を通して、1日に2万人もの客が訪れたという本屋であったリブロという書店の興亡、バブルの時代を描く。そして通奏低音のように続くのは、「堤清二」の名である。「リブロ手下げ袋破損事件」など、堤清二のカリスマ性が出ていて、笑ってしまうが。2017/05/03
阿部義彦
16
リブロ池袋店という、大型書店にて、硬い人文書、哲学、宗教関係の専門書を大々的に前面に押し出し、独自の棚作りをして、リブロの今泉棚として、一時代を築いた御本人、今泉正光さんへのインタビューです。浅田彰、中沢新一の二人が牽引した、ニューアカブームとも重なって、単価の高い専門書籍をどの店よりも売りました。4500円の新刊を思い切って300注文して積んだら初日で全部売れたそうです。著者を呼んでのフェアも積極的に仕掛けました。勿論音楽美術書、写真集、詩集等にも力を入れて活気のある書店の裏話などが話されてます。2022/11/17
りょう
9
かつて書店文化が華やかだった頃の話。今泉氏といえば知る人ぞ知るカリスマ書店員で、今回はその経歴や仕事のお話。かつてはこういう書店員がいたんだなぁと感心してしまいました。今となっては思想や哲学などの人文書はほんとに限られた人しか読まないし、それこそ商売とは遠いところにあると思う。昔は凄かったんだなぁ。そのリブロも今は大手取次の完全子会社、そりゃ変わりますよね。求められてることも時代が変われば変わる。自分が何かできる訳じゃないけど、書店でバイトをしている身として興味深く読ませてもらいました。2012/10/27
まさむね
7
こういう時代があった、と片づけられるような話ではあるが、発言の端々に含蓄があるので「ただの思い出話」の域を超えて、今でも参考になるような話が多い。これを読むと、この当時のリブロと今のリブロは別物なんだろうなあと思う。『アンチ・オイディプス』が入荷日に300冊完売した、という話が凄い。2010/09/21
izw
6
出版されたときから気になっていたが読まずにいた。「出版人に聞く」シリーズ11巻めとなる「名古屋とちくさ正文館」を読んで、小田光雄のインタビュー力がすごいと感じ、シリーズの最初から読んでみることにした。自分の大学時代からと重なっている時期で、本屋にはよく通ったものの、その頃はあまい人文関係の書棚には行かず、リブロも噂には聞いていたのものの一度か二度行ってみただけであまり印象に残っていない。今思うと残念なことをしたものだ。2014/04/01