内容説明
未解決の宝石失踪事件の謎を、走る列車内で鮮やかに解く老人。彼の正体とは…。傑作パスティーシュである表題作をはじめ、本格ものからサスペンス、ホラー、奇妙な味までバラエティに富んだ全26編を収録。短編のスペシャリスト、アーサー・ポージス初の傑作集。
著者等紹介
ポージス,アーサー[ポージス,アーサー][Porges,Arthur]
1915~2006。アメリカ、シカゴ生まれ。第二次大戦後、大学で数学を教えるかたわら1950年に短編小説で作家デビュー。その後、専業作家となり、ミステリ雑誌や一般誌などに多くの作品を発表した。生涯で発表した短編小説は、ミステリ、SF、ホラーなど様々なジャルにわたり、300編以上にのぼる
森英俊[モリヒデトシ]
1958年東京都生まれ。早稲田大学政経学部卒業(在学中はワセダミステリクラブに所属)。翻訳・評論活動のかたわら、ミステリ洋書専門店Murder by the mailを運営。『世界ミステリ作家事典(本格派篇)』で第52回日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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geshi
27
科学的知識に基づいたトリックが得意な、短い中でもミステリパズルとしてちゃんと成立させているさすが短編の名手。一番の好みは『運命の分岐点』2つの運命の分岐を見せる奇妙な味でラスト一行の皮肉が利いている。あとは、『八一三号車室にて』のパスティーシュであることを最後に明かす粋。ちゃんと気付く人は気付けるのがにくい。『フォードの呪い』の老人のたわごとが真実へと反転してしまう力技。『横断不可能な湾』一種のバカネタでトリック×ロジックというゲームを思い出した。2016/07/11
やっす
12
一作の長さが十数ページとコンパクトなので、寝る前に二~三篇ずつという感じでゆったりと読めました。ミステリ篇とパズラー篇の二つに分けられているのですが、期待の大きかったパズラー篇よりも、ミステリ篇の方に良いものが多かった印象。短い中にも最後にきっちりと意外な落ちをつけてあって、巧いなぁと思わせる作品ばかり。それに反してパズラー篇は、短い分量の中に謎と解決を詰め込んでいるが為にどうしても窮屈で無理矢理な感じが否めない。肝心なトリックもどちらかと言うとバカミスの域に近いものが多く思えて今一つでした。2016/08/18
ホームズ
6
後半パズル編がやはりいいかな(笑)表題作はなるほどね〜(笑)だから『八一三号車室にて』なんだね〜(笑)ちょっと嬉しかった。前半の後半『フォードの呪い』とか良かったな(笑)短い中で楽しませてもらえるし、色んな話がいいですね(笑)2008/12/27
てっちゃん
2
ミステリ好きとしては、後半の方がより楽しめた。「ひ弱な巨人」「愛としを見つめて」 のトリックが印象的。欲を言えば各編もう少し長めだといいなぁ。2013/05/10
すけきよ
2
好きか嫌いかなら、好みのタイプなんだけど、基本的に「謎→解決」だけの作品がほとんどで、展開も基本的に同じ。調査のシーンを省くためか、安楽椅子探偵が多い。パズルとして余計な付属品がついてないのがいい、と言えばそうなのかも知れないけど……ジャック・リッチーと同様一度にまとめて読むような作家ではないかなぁ。おつまみのピーナッツをどんぶり一杯食べてる感じ?(笑)個人的お気に入りは、「銀行の夜」「完璧な妻」「ひとり遊び」「水たまり」「八一三号車室にて」「愛と死を見つめて」2008/10/11