内容説明
富豪一族に相次いで起こる変死事件。現場に残されたクチナシの香りを追って、酒と女に弱い私立探偵ビル・クレインが謎に挑む。古典的名作『モルグの女』のジョナサン・ラティマーによる、ハードボイルド+本格ミステリの秀作。ビル・クレイン・シリーズ最終作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅はこべ
24
富豪一族に続く車の排気ガスによる中毒死。遺体には何故かいつもクチナシの香りが。長男と甥を失った一族の当主は長男の妻を疑っていた。彼女はクチナシの香りの香水を愛用していた…。主人公の私立探偵とその同僚の美女との関係を始め、富豪一族の中でも男女の愛憎関係が入り乱れているので、ついそちらに注意が向いてしまうが、真犯人の犯行の動機や手法を示すヒントは作中にさりげなく散りばめられていた。本格の条件はちゃんと満たしている、ライトなハードボイルド。2015/08/28
ボブ
3
再読。富豪一族の息子、従兄弟、その妻、主治医、従兄弟と恋仲のヤクザの情婦、それらが繰り広げる恋愛憎愛騒動、誰が誰を好きなのか分からなくなってくる位皆さん気が多い、その中で起きる殺人事件。探偵により暴かれる真相、動機はそれなりのものでした。巷で言われる程本格推理の妙味はこの作品には出ていなかったと思います。登場人物達の恋愛ドタバタ騒動が楽しい一品でした。2025/08/02
三門 優祐
2
ミステリとしてはさておき、スクリューボール・コメディーとしてはかなり上質。『処刑6日前』や、『モルグの女』も読みたいところ。2009/05/11