内容説明
生前未発表だった幻のシナリオ、本邦初訳の短編、極上のショート・ショート、ブランド自らコックリル警部について語ったエッセイ等、バラエティに富んだ「ケントの鬼」ことコックリル警部ものの作品集。『はなれわざ』『ジェゼベルの死』で著名な、女流本格の代表作家クリスチアナ・ブランドの生誕百周年を記念して贈る。解説、山口雅也。
著者等紹介
ブランド,クリスチアナ[ブランド,クリスチアナ][Brand,Christianna]
1907~88。本名メアリー・クリスチアナ・ミルン。マラヤ(現マレーシア)生まれ。幼年時代をインドで送った後、イギリスに渡り修道院付属学校に入学するも、父親の破産のため退学。その後、ホステスや秘書等、職を転々とする。1939年に短編小説でデビュー、41年にミステリ長編『ハイヒールの死』を上梓する。その後はコックリル警部ものに代表される本格ミステリから歴史ロマンスまで、幅広く活躍。また、チャイナ・トンプスンやメアリー・アン・アッシュ等の名義でも作品を著している
深町眞理子[フカマチマリコ]
1931年東京生まれ。英米文学翻訳家
吉野美恵子[ヨシノミエコ]
日本女子大学英文科卒。英米文学翻訳家
白須清美[シラスキヨミ]
早稲田大学第一文学部卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
36
恩田陸さんの愛読する「ケントの恐怖」コックリル警部の事件簿。「ぶち猫」は戯曲式サスペンスなのですが登場人物に誰もがいやな部分を出しているのが一番、飛び抜けているのは金大好きで自分の魅力で相手を籠絡しようとする身勝手なティナでしょう。彼女に苛々したためか最後の奸計が上手く、云った爽快感はたまりません(黒笑)これは戯曲で是非、見てみたいな~。「アレバイ」は酔っぱらった警部によって指摘されるアリバイを示す最後の一文でアッと言わせられますし、他の作品もなかなかの味わいでした。2013/07/28
紅はこべ
19
コックリル警部ものの短編集。表題作は戯曲で、毒殺ものだが、毒入りグラスの動きがちょっとわかりにくい。舞台で演じられるとわかりやすいのかな。とにかく全作さすがのハイレベル。英国ミステリ定番テーマの行方不明の遺産相続人ものとか、雪の上の足跡の密室ものとか。古典的シチュエーションの本格好きにはたまらない。2014/09/18
不見木 叫
16
エッセイ『コックリル警部』は生みの親(作者)によるコックリル警部評というコンセプトが良い。戯曲「ぶち猫」と「ロッキング・チェア」が私的ベストです。2022/12/25
たち
16
表題作「ぶち猫」は戯曲で、大変面白かったです。まさに、舞台か映画を観ているようで、いっきに読んでしまいました。この話以外なら、短いですが、「アレバイ」が楽しかった。酔っぱらっていてもコックリル警部は鋭かったんですね!2016/11/25
cinos
9
どの短編もブランドを愉しめる好短編ですが、「アレバイ」がインパクト大のショートショートでした。戯曲は読みなれていないので…。山口雅也さんの愛情あふれる解説が最高です。2016/07/11