内容説明
科学と論理で謎を解く本格派探偵小説の先駆!パリで客死する夭折の前衛作家が、社会矛盾の苦界にうごめく狂気を描く。
著者等紹介
平林初之輔[ヒラバヤシハツノスケ]
1892(明25)年、京都府生まれ。1917(大6)年早大英文科を卒業後、アテネ・フランセでフランス語を修める。23(大12)年、早大仏文科講師となる。26(昭1)年、博文館に入社、『太陽』の編集主幹となった。『太陽』廃刊後は、再び文筆に力を入れた。平林は以前より探偵小説に関心を抱いており、政治と文学に関する評論と並行して、江戸川乱歩の『新青年』に評論、翻訳、創作を発表した。31(昭6)年、早大留学生として、映画研究と国際文芸家協会大会出席のためにフランスへ渡ったが、出血性膵臓炎のためにパリで急死した
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感想・レビュー
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geshi
27
ミステリプロパーの人ではなくて一般文壇の作家さんと知ると人間味や人生の皮肉を書いた作品が良いので納得。『予審判事』ソリッドシチュエーションで会話のみで二転三転する話のテンポの良さと、そこに現れる父の心・子の心が良い。『犠牲者』平凡で善意しか持たぬ者が陥る運命の罠が可哀そうすぎる。『秘密』妻と同じ名の女の話から明らかになる秘密とラストの悲劇が哀れな女を印象付ける。『私はかうして死んだ!』自分が記録上は死んでいることをポジティブにとらえて犯人を自白させないために調査するスタンスが面白い。2023/08/07
来古
2
「予審調書」「頭と足」「犠牲者」「秘密」「山吹町の殺人」「祭の夜」「誰が何故彼を殺したか」「人造人間」「動物園の一夜」「仮面の男」「私はかうして死んだ!」「オパール色の手紙」「華やかな罪過」「或る探訪記者の話」2023/12/05
おとや
1
「予審調書」「頭と足」「犠牲者」「秘密」「山吹町の殺人」「祭の夜」「誰が何故彼を殺したか」「人造人間」「動物園の一夜」「仮面の男」「私はかうして死んだ!」「オパール色の手紙」「華やかな罪過」「或る探訪記者の話」の短編14編を採録。全作を青空文庫で読むこともできる。作者は旧来作家としてよりも思想家・評論家として評価されている人物らしい。探偵小説というより、SF風の小説もあるが、同年代の蘭郁次郎などに比べると確かに面白みに欠ける嫌いはある。また、「人造人間」と「或る探訪記者の話」のように、同工異曲の作品も目に2013/07/12
ありさと
0
奇想だなーって感じ(なんだそりゃ)。ルパン好きなんだろうなーって思いながら。「犠牲者」「祭の夜」「動物園の一夜」あたりが中でも好きだったかな。基本的に好みなのでⅡも読みましょうかね。評論とかも入ってるようだし。「犠牲者」がヒドイのでテレビのサスペンスには見習って欲しい。2014/11/08