内容説明
電気メーカー・ハリマが提示した報酬は、1年間の記憶と引き換えだった。しかし、パイロツトの伊丹、プログラマーの礼子、エンジニアの神戸のうち、5千万を手にしたは神戸だけ。伊丹と礼子が受け取ったのは、キャラメル、バスの回数券、安全ピン、マッチ、鍵、トランプ、キャンドル。二人はなぜ5千万のかわりに、こんなガラクタを選んだのか。失った記憶を求めて、二人はクリスマス・イブの東京を駆け巡る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ユメ
2
劇団キャラメルボックスの脚本が2本収録されている。表題作「キャンドルは燃えているか」を高3の学園祭でやった。初演時の脚本を使っていたので(この本は再演時の改訂版)、瞳の名前が泉になっていたり、所々台詞が変わっていることに驚きつつ、久々にタイムトラベルを堪能した。全ての台詞がクラスメイトたちの声で甦ってくる。本番前日の夕方、自分が演じた竜野(女子校なので。笑)と、伊丹、神戸のアクションシーンが完成したことは忘れられない。青春だね。伊丹と礼子の間でキャンドルの炎が揺れ、幕が下りた瞬間は、今思い出しても感無量。2013/02/28
やまねっと
1
成井豊の戯曲の魅力のひとつは物語に出る登場人物たちの業の肯定にある。どんな困難なことも受け入れ、ゴールが決まっている双六の上を進み立ち止まりながら大団円と向かう。「キャンドルは燃えているか」はかなり面白いタイムトラベルものだと思う。戯曲は読みにくいが、グイグイ進んでいく物語にワクワクする。舞台版が見たくなる。会心作だと思った。 もうひとつの「ディアーフレンズ、ジェントルハーツ」は野球が絡んだ佳作である。一度手に取って読んでもらいたい。2018/01/22