内容説明
紙の闘争で世界が変わると思っていた…出会うことの叶わなかった二人の小説家/運動家、小林多喜二と埴谷雄高。「アクティヴィスト」と「ひきこもり」を横断しながら、彼らが遺した紙屑につながりの言葉を望見=冒険する、貧しくも勇猛果敢な文学研究の書、ここに誕生!新進気鋭の在野研究者の処女作が大幅増補で堂々の復活。
目次
第1部 『小林多喜二と埴谷雄高』(「政治」と「文学」;散在する組織;混在する組織 ほか)
第2部 貧しいテクスト論四篇(宮嶋資夫『坑夫』試論―ポスト・プロレタリア文学の暴力論;くたばって終い?―二葉亭四迷『平凡』私論;人間の屑、テクストの屑 ほか)
第3部 自費出版録(在野研究の仕方―「しか(た)ない」?
カネよりも自分が大事なんて言わせない
自費出版本をAmazonで六九冊売ってみた)
著者等紹介
荒木優太[アラキユウタ]
1987年東京生まれ。在野研究者。専門は有島武郎。明治大学文学部文学科日本文学専攻博士前期課程修了。ウェブを中心に大学の外での研究活動を展開している。2015年、「反偶然の共生空間―愛と正義のジョン・ロールズ」が第59回群像新人評論賞優秀作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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柳田
9
飲み屋でこれを読んでいたら小説だと思われた。それゃそうか…なのかな。「貧しいテクスト論四篇」も面白くて、どうも私は文学以上に文学研究とか評論が好きなのかも。正直埴谷も多喜二も予備知識がなさすぎてピンとこなかったところはあって、もう少しいろいろ読んでから再読したい。装丁もかっこいい。2018/01/21
mstr_kk
6
若き在野研究者が、かつて自費出版した『小林多喜二と埴谷雄高』といくつかの作品論、そして在野研究と自費出版の体験記をまとめて出した本です。感動的な一冊でした。「多少カッコ悪くても、やりたいことをやって、人に届けよう」というテーマ(おそらく東浩紀の影響が大きい)が、さまざまなレベルで追究されています。埴谷雄高ファンとしては、非常に痛いところを突かれていてつらかったのですが、それもすがすがしい。研究というよりは批評であるように感じつつ、やはり才能ある書き手だなあと思いました。あ、校正はもっとしたほうがいいかな。2018/06/25
シムシティ
0
在野の立場から自費出版として紙の本を出す気概が伝わってきた、良著2021/09/10